飼育されているパンダの数が世界で757頭に
【東方新報】中国・四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)で11月26日に開催された「グローバル・パンダ・パートナーズ大会2024(Global Panda Partners 2024)」で、国家林業草原管理局の関志鴎(Guan Zhi‘ou)局長が、現在世界で飼育されているジャイアントパンダは757頭まで増加したと発表した。 関氏の話によると、中国では67のパンダ自然保護区とジャイアントパンダ国立公園が設置され、その総面積は258万ヘクタールに及び、国内の野生パンダの生息地の85パーセントをカバーし、中国に生息するジャイアントパンダの野生の個体数は現在約1900頭だという。 関氏は、会議に出席した世界の多くの専門家や政府関係者の一人として、ジャイアントパンダの保護における経験と進歩について発表を行い、パンダと人間が共存できる生息地の保護に関する文化交流や協力の促進を呼びかけた。 ロシアのモスクワ動物園(Moscow Zoo)のスベトラーナ・アクロワ(Svetlana Akulova)園長は、ジャイアントパンダの飼育には「特別な注意、知識、ケアが必要」と述べ、パンダの自然環境にできるだけ近い飼育環境を整えることの重要性を強調した。 園長の話によると、5年前に2頭のパンダがモスクワ動物園にやって来て以来、飼育エリア内の温度と湿度を一定に保つ恒温加湿器や空調システムの設置など、飼育環境を良好に保つための一連の対策を講じてきた。 モスクワ動物園では、飼育環境の改善や野生のパンダの個体数を保護する効果的な方法の開発に役立てるため、パンダの行動データを観察し、情報が収集されている。そして、パンダのストレス軽減のため、予定外のトレーニングを行ったり、新しいおもちゃで生活環境を豊かにしたりしているという。 東京の上野動物園(Ueno Zoo)の富田恭正副(Yasumasa Tomita)園長は「ジャイアントパンダは有名な動物で、世界中の絶滅危惧種を代表する存在であり、野生生物保護に対する人々の意識を高める上で重要な役割を果たしています。当園のジャイアントパンダを見るために、日本国内だけでなく世界中から毎年350万人もの来園者が訪れます。東京に生物多様性について学びにやって来るのです。素晴らしいことです」と語った。 関氏は「長年にわたるジャイアントパンダ保護活動で大きな進展がありました。中国は20か国26の機関とパンダ保護研究の協力関係を結び、その結果71頭の子パンダが誕生しました」と紹介した。 中国四川省ジャイアントパンダ保護研究センターの副主任でチーフ・サイエンティストの李徳勝(Li Desheng)氏の話によると、野生のパンダの個体数を増やすため、2006年以降、12頭のパンダを野生に放し、そのうち10頭は現在も野生で生存しているという。 また17年には、遺伝的多様性を高めることを目的に、野生のオスパンダと交尾させるため、飼育下のメスパンダを野生に放つプログラムを開始したが、これにより合計14頭の子パンダが生まれ、そのうち12頭が生存しているという。 中国科学院の院士であり、江西農業大学の学長でもある魏輔文(Wei Fuwen)氏は「野生のジャイアントパンダの総個体数は増加傾向にはあるが、生息地の分断化で絶滅の危機に瀕している孤立した小規模な個体群を救うためには、さらなる取り組みが必要です」と話す。 魏氏はその方法として「飼育下のパンダを野生に放ち、生息地を移動できる『生態回廊』を設けることが重要」と強調する。また魏氏は、野生のオスパンダとの激しい競争に直面するオスを放すよりも、生存率が高いメスのパンダを野生に放つことが効果的と提案している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。