中小企業が現代を生き抜く方法「大企業のマネをするな」
アベノミクスで景気が上向いていると言われる昨今。グローバル経済の時代、インターネットの時代といわれ、東日本大震災が起こったりと、企業を取り巻く環境は刻々と変わっています。こんな現代を、大企業に比べると「弱者」と見られがちな中小企業はどう生き抜いていけばいいのか。「中小企業は大企業のマネをするな」。こう語るのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのシニアコンサルタント、柏原雄一郎氏です。
フォーカスが大事
中小企業庁のサイトによると、中小企業(会社と個人事業者)数は約420万社で、全企業数のうち、なんと99.7%を占めます(2009年7月時点)。日本の企業のほとんどが中小企業といってもいい状況です。柏原氏は、数多くの中小企業のコンサルティングを行っている経験から、「『違いを出す』ことが大事。自社の個性を磨き、どこに力を入れるかを絞る必要がある」と訴えます。中小企業は「人もカネもない」ので、競合他社や大企業のマネをして、あれもこれも手を出してしまうと会社の体力が持たないばかりか、逆にその会社の資産というべき「個性」も殺してしまうことになりかねないからです。柏原氏は「個性を伸ばす方向に行くべきなのに、どうしても平均点を上げる方向に行ってしまう。リソースが限られるので、メリハリつけてやっていくのが大事」と語ります。
中小企業の強み
中小企業が持つ、大企業にはない強みは何でしょうか。柏原氏は、一般論として、状況に合わせて「小回りがきく」ことを挙げます。中小企業には、いわゆるオーナー企業が多いので、会社の方針を決めるのも早ければ、実行に移すのも早い、というわけです。逆に、大企業は方針を社内で決めるところで時間がかかってしまう傾向があり、そういう意味で、環境の変化に即座に対応できないのが弱みだと指摘します。 ただ、そうした強みを持つ中小企業でも、会社が大きくなって組織が肥大化し、外から人が入ってくると、部署間の温度差で意思統一が難しくなったり、また、成長意欲の強いオーナー社長はどうしても、いい会社、つまり大企業のマネをしたがるので、なかなかその強みを十分に活かせていないようです。