中国とドイツは「次なる経済的・政治的危機」に巻き込まれるのか
オラフ・ショルツ独首相の苦悩
話をドイツに戻し、少し先の9月に目を向けよう。オラフ・ショルツ独首相は、同僚たちから大きなプレッシャーを受けることになるかもしれない。「新学年が始まる」9月には、ザクセン、テューリンゲン、ブランデンベルクで州議会選挙が行われる。これら東部の州では、連立与党の支持は少なく(連立3党を合わせても10%台半ば)、保守的なドイツキリスト教民主同盟(CDU)の方がはるかに高い(30%近い)。悪名高い右派政党、ドイツのための選択肢(AfD)は、上記3州で30%近い支持を得ている。 今回の選挙は地方選挙ではあるが、AfDが強い支持を得るという見通しは、ショルツ首相を困惑させるだろう(東部におけるAfDの指導者たちが非常に物議を醸していることは確かだ)。また、政府のエネルギー政策を、さらに弱体化させるかもしれない(これらの地域の有権者は、ロシアからのガスや石炭の供給再開を望んでいる)。さらに、政府が構造的な社会インフラにもっと支出する必要性についても、問題が提起されるだろう。 ショルツ首相は、ドイツの戦略的ジレンマについて「ツァイテンヴェンデ(時代の転換点)」という言葉で表現したが、彼はドイツをより良い方向へ導くことはこれまでほとんどしてこなかった。ウクライナがロシアで、ドイツの装甲車両を使用したことに対するドイツ政府の狼狽や、財政的制約の中での予算編成の滞りは、政策の行き詰まりを示唆している。 2024年後半から2025年にかけての新たな展開は、2つの世界経済の重要な牽引役であるドイツと中国の両方を、(自ら作り出した)経済的・政治的危機に巻き込んでいくことになるのかもしれない。
Mike O'Sullivan