「無意味な連帯責任?」千葉市消防局、1人の飲酒運転で全員禁酒 実は2度目、不祥事防止の“実績”があった #ニュースその後
事態を重く見た同局は18年12月、消防局長を委員長とし、部長や所属長ら委員20人で構成する「不祥事防止対策検討委員会」を設置。4度の会議を重ね、危機管理やメンタルヘルスが専門の大学教授ら外部有識者のアドバイスも受けながら不祥事対策の報告書をまとめた。 報告書では「ハラスメントのない職場環境の実現」「コンプライアンス意識の醸成を図る」「風通しの良い職場環境づくり」という三つの方針を設定。これらに基づき、弁護士やハラスメントの専門家を招いての研修会▽ハラスメント撲滅を誓う局員の誓約書提出▽各所属でのコンプライアンス検討会の設置▽所属長による全職員面談の実施―など新規9事業を含む計17事業もの幅広い不祥事対策に取り組み始めた。
再発防止へ「人ごとにしない」
ところが、翌19年度も局員のひき逃げが発覚。そのほか、窃盗、同僚へのパワハラや暴行など、前年度より多い計6件の不祥事が起きてしまった。 減少どころか増加したことに、「できる限りの対策を取ったものの、あまり効果が見えずにいた」。担当者は局内に広がった当時の無力感を振り返る。 20年3月に極め付きの事件が起きた。緑消防署の消防司令補の男(35)=当時=が深夜まで飲酒した後に女子大学生に暴行。強盗強制性交容疑で逮捕された。 この事件を受け、同局は「さらに踏み込んだ対応」として同年4月から1カ月間、全職員での禁酒を決めた。 すると、この禁酒以降、今年11月の飲酒運転事件が発生するまでの約3年間、不祥事の発生はゼロ。同局には、他のどんな対策よりも「全員禁酒」が効果を上げたように映った。 同課担当者は「あれだけ続発していた不祥事がぴたりと止まった」とし、その理由を「全員が禁酒することで不祥事を他人ごとにせず、一人一人が自らの行動を見直す機会となったことが再発防止に効果的だったのでは」と分析。「今回の全員禁酒で飲酒運転はもちろん、全ての不祥事を防ぎたい」と話す。