「越前がに」福井で初競り、1匹4万円の「上物」も…北陸新幹線延伸で「カニ目当てに来ていただければ」
「越前がに」のブランドで知られるズワイガニ漁が福井県内で始まり、越前漁港(越前町)や三国港(坂井市)で8日、初競りがあった。最高級ブランド「極(きわみ)」は揚がらなかったが、雄1匹で4万円の値をつけた「上物」もあった。北陸新幹線の県内延伸後、初めてのカニシーズンで、県内の旅館、スーパーは客足の伸びや売り上げ増を期待する。(清水翔) 【グラフ】越前がにの漁獲量と漁獲金額の推移
漁港に活気
8日午後3時半、越前漁港の荷さばき所にかねが鳴り、競り人の声が響いた。あおむけにされたカニが並ぶ。脚には越前がにの証しとなるプラスチック製の黄色いタグ。仲買人らは上質のカニを見つけると、手や声で買値を示して次々と競り落としていった。
競りを終えた男性(35)は「今日は大きいカニが少なかったが、県内の飲食店からの注文量も例年通りでこれからに期待したい」と話していた。
悪天候の影響で漁が解禁日から2日遅れとなった今季。幹昌丸船長の男性(37)は「もどかしかった。やっとみなさんに福井の名産品を届けられる」と振り返った。
初日の水揚げは雄が約7600匹、雌のセイコガニが約9万匹だった。漁は雄が来年3月20日まで。雌は今年末まで。
資源は回復傾向
ズワイガニは水深200メートルより深い海底に生息する。2023年度の越前がに漁獲量(水がにを含む)は443トンで、3年連続で増えた。20年度には319トンに減ったが、漁業者らが資源保護に取り組み、回復傾向にあるという。漁獲金額は前年度比13%増の24億8000万円で、過去最高を記録した。
県水産課の担当者は「ブランド化の取り組みが成功し、他県産と比べても高い水準だ」と話す。
スーパーに特設テント、400杯ずらり
福井市のスーパー「ハーツ志比口」では9日、特設テントが設けられ、前日に水揚げされた越前がにが販売された。買い物客らは鮮やかな紅色にゆであがったカニの香りにそそられ、買い求めていた。
越前漁港や三国港などでとれたカニ約400杯が並べられた。越前漁港のズワイガニ5杯はわずか30分で完売。加藤聖大店長は「今年も良いカニをそろえているので、多くの人に食べていただきたい」と話した。