U-20W杯へ挑む4人の逸材
20歳以下のナショナルチーム世界一を決める2年に一度のヒノキ舞台、FIFA・U-20ワールドカップ2019が23日からポーランドで開催される。 2大会連続10度目の出場となるU-20日本代表からは、主軸候補のMF久保建英(FC東京)、MF安部裕葵(鹿島アントラーズ)、GK大迫敬介(サンフレッチェ広島)が選外となったことで、図らずも注目を集めた。 コパ・アメリカに臨むフル代表へ、そろって抜擢されることが濃厚になっているなかで、招集された21人のなかにも来夏の東京五輪代表、そして将来の日本代表を担える逸材がいる。ポーランドの地で開幕を待ち焦がれている、4人のホープをピックアップした(【】は背番号)。 【9】斉藤光毅[MF/横浜FCユース/170cm・61kg] 17歳でプロ契約を結んで2年目。横浜FCユースに所属しながら昨シーズンに続いてトップチームに2種登録され、J2リーグ戦では初ゴールを含めた2発をゲット。ピッチを離れれば通信制の高校3年生に変わる斉藤光毅は、初めて臨む世界の舞台に胸を躍らせている。 2017年秋のFIFA・U-17ワールドカップ代表に招集されながら、開幕直前になってけがで離脱を余儀なくされた。日の丸を背負ってともに戦うはずだった同じ年の久保はいま、J1で首位を快走するFC東京の主力となり、U-22代表を飛び越してフル代表へ駆けあがろうとしている。 「身近だった選手がJ1で先発して、結果も残しているのを見ていると刺激になります。自分も絶対に負けていられない、と」 目標として掲げるのは、ほぼ同じサイズのアルゼンチン代表FWセルヒオ・アグエロ(マンチェスター・シティFC)。俊敏性とテクニックが融合したドリブル。裏のスペースへ抜け出すスピード。そして、ゴールを求める貪欲な姿勢。J2で11試合に出場しながら己の武器に磨きをかけてきた。 「積極的に果敢に仕掛けていくタイプはなかなかいない。今後に期待したいよね」 ブンデスリーガで9年間プレーした経験をもつ、横浜FCの奥寺康彦会長も賞賛する逸材は、52歳の現役最年長選手、FW三浦知良の一挙手一投足をも「カズさんのやっていること、言っていることはすべて学ばなければいけない」と力に変えて、世界相手にぶつけようとしている。 【14】西川潤[FW/神奈川・桐光学園高3年/180cm・70kg] 唯一の高体連所属となる西川潤は、来シーズンから加入するセレッソ大阪のJFA・Jリーグ特別指定選手として、セレッソがU-23チームを参戦させるJ3リーグ、YBCルヴァンカップ、そしてJ1リーグをすでに経験した。 「最後の1年間は高校サッカーだけでなく、Jリーグにも絡んでいきたい」 3年生への進級前にこう語っていた西川は、他チームの動きを待つことなく、最初にオファーを出したセレッソ加入を3月に決めた。一刻も早くプロの舞台で戦いたいと、左利きのストライカーに決意させた最大の理由にドイツでの経験がある。 1月中旬から10日間、ブンデスリーガ・レバークーゼンのセカンドチームの練習に参加した。チームには定員があり、練習生といっても西川が加われば誰か一人が追われる。西川に向けられたのは歓迎ではなく、敵対心に満ちた視線だった。 「僕から話しかけることができない雰囲気というか、自分の居場所はないという感じでした」 練習ではパスがまったく回ってこない。あからさまに無視される状況を大声と派手なゼスチャーで、そして3戦3発の結果を残した練習試合で帰国直前には180度変えた。 「自分から積極的に溶け込んで、メッセージを発信しないとやっていけない世界だと実感しました」 プロだからこそ味わえる厳しさが自分を成長させる。あえて履いた桐光学園高のキャプテンとJリーグという二足の草鞋に日の丸も加わり、西川のモチベーションをさらにかき立てている。