「餃子」から“日本の食”の課題が見えてくる!?農林水産省が取り組む「ニッポンフードシフト」とは?
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの新ラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。 4月21日(日)の放送テーマは、「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」。農林水産省 大臣官房政策課 食料安全保障室長の宮長郁夫(みやなが・いくお)さんをゲストにお迎えして、日本の食糧事情について伺いました。
◆餃子から「日本の食」を考えてみよう
生きるうえで欠かせない“食”ですが、これから先もおいしく食べられるかどうかは、私たちの生活や社会のあり方と大きく関わってきます。例えば、餃子で使われている材料を一つひとつ紐解いて、私たちの食卓にあがるまでを見ていくと、日本の食の現状や抱えている課題が見えてきます。 餃子の主な材料は、白菜、ニラ、ニンニク、豚肉、餃子の皮です。生産野菜は国産が多いですが、宮長さんは「一般的に餃子の具材に使われる豚肉は、たとえ国産であっても、とうもろこしなどのエサの原料の多くは海外から輸入されています」と指摘します。また、餃子の皮に使用される小麦粉の原料である小麦は、8割以上が海外からの輸入です。そのため、身近にある料理であっても、すべてを国産でまかなうことは難しいとされています。 また、コロナ禍のような世界的なパンデミックによって輸送が滞ったり、異常気象で生産地が打撃を受けると、そのぶん供給できる食料は減り、私たちの食生活に影響を及ぼす可能性があります。近年は、世界的に見ると人口が増加していることから食料需要が増えていますが、食品の値上がりが目立っているのは、こうしたことが要因の1つになっています。 食料を安定的に確保するためには、できる限り国内で生産することが大切です。その指標の1つとして“食料自給率”があります。これは、私たちが消費した食料のうち、どれだけ国産でまかなわれたかを示す指標ですが、日本の食料自給率は、昨年度で約38%(カロリーベース)。品目別では、米(99%)や野菜(79%)は自給率が高い一方で、日本人になじみ深い大豆は6%、小麦は15%と、それほど高くありません。つまり、現在の食料自給率では、万が一の事態に陥ったとき、食べたいものが食べられない可能性があるのです。 食料自給率を上げるために、私たちができることは何でしょうか? 宮長さんは「料理をするときに“国産の食材を使う”。例えば、餃子の皮に使用する小麦粉を国産の米粉に変えたり、国産の豚肉を使うことです」と話します。 海外からの輸入に頼る家畜のエサの現状を踏まえ、日本では国内で生産される飼料用の米のほか、余った食品なども使われています。さらに、近年では規格外の野菜などを活用する動きも生まれており、「余った資源を利用したエサは“エコフィード”と呼ばれ、輸入したエサに依存しすぎない農業経営につながるだけでなく、SDGsの推進にもつながっています」と説明。農業の現場では、今まさに創意工夫のあるさまざまな取り組みがおこなわれています。