DeNA、敵地連勝タイ 鷹を圧倒!強行出場オースティンがV弾 横浜決戦へ夢つないだ
「SMBC日本シリーズ2024」は第4戦が行われ、セ・リーグ3位のDeNAはパ・リーグ王者のソフトバンクに5-0で快勝し、対戦成績を2勝2敗の五分とした。左足甲の打撲を抱えるタイラー・オースティン内野手(33)が、四回の決勝ソロを含む3安打2打点で勝利の立役者となった。日本シリーズ通算で無傷の4勝を挙げていた石川柊太投手(32)を攻略。チームは第6戦の舞台となる本拠地、横浜スタジアムへの帰還を決めた。 痛い、かゆいは二の次だ。全ては頂点に立つため。手負いのオースティンが勝利への道筋をつけるソロを放ち、高々と右手を掲げた。 「体の状態は正直よくないけど、チームのため、ファンのために持てる全てを出し切るつもりで試合に臨んでいる」 0―0で迎えた四回の第2打席。カウント1―2から内角を狙った石川の直球は逆球となり、右の大砲は逆方向となる右翼ホームランテラス席へ運んだ。巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでも右翼席に2試合連続本塁打を放っており、通算8度目の日本シリーズ登板で過去4勝無敗を誇った右腕も打ち砕いた。 打線は1―0で迎えた七回に5安打を集中し、一挙4得点。極めつきは助っ人の1試合3安打目となる左前適時打だった。来日5年目の今季は初めて規定打席に到達し、打率・316で首位打者に輝いた。日本シリーズでも出場3試合で打率・556(9打数5安打)、1本塁打、2打点の活躍で打線を引っ張り、敵地のみずほペイペイドームで2連勝に導いた。 満身創痍(そうい)で戦っている。26日の日本シリーズ第1戦で自打球を当てて左足甲の打撲を負い、翌27日の第2戦を欠場。29日の第3戦から再び4番に座り、痛みをおしながらプレーを続ける。この日も一走から三塁に達した走塁で足を引きずるようにして走り「ぶっちゃけ、めっちゃ痛かった」と打ち明けたほどだ。 野球への情熱が、体を突き動かす。近年は度重なる故障に泣き、昨季は22試合の出場にとどまった。「自分以上にあの舞台(日本シリーズ)に立ちたいと思っている人はいない」と断言し「野球を愛している。プレーできるなら全試合に出るという強い気持ちでいる」と熱く語る。 原動力の一つが日本の夏を彩る高校球児の姿。甲子園を懸けて一球一打に死力を尽くすさまに胸打たれるといい「プロの世界も一緒」と言い切る。全力プレーを目の当たりにしてきた桑原は「オースティンなしでは何もできないといわれるのは腹立たしい」と発奮材料に変え、三浦監督は「オースティンの気持ちが選手、スタッフに伝わっている」とねぎらった。
チームは対戦成績を五分に戻し、敵地での第5戦を経て再び横浜スタジアムでプレーする。ベイスターズファンの大声援に思いをはせたオースティンは「彼らの前でまたプレーできるのが楽しみ」と声を弾ませた。三浦監督は「必ず戻るという気持ちでやっていた」と語りつつ「それが目標じゃない」とキッパリ。横浜の熱気を力に変え、頂を極める。(鈴木智紘)