幻の地鶏「効率より味」 埼玉唯一「タマシャモ」 養鶏農家は2戸のみ、取扱店も限られる 半年かけ伸び伸び飼育 性別によっても合う料理が変わる
■うま味、一般の鶏の1・7倍 県農林部畜産安全課によると、タマシャモの原種開発は約半世紀前から開始された。県養鶏試験場が大シャモ、大和軍鶏(ぐんけい)、ニューハンプシャー種を交配し、1984年に世に出た。今年で誕生から40周年を迎える。 タマシャモは歯応えと濃厚なうま味が特徴の肉用鶏で、うま味成分は一般的なブロイラーと比較し、1・5~1・7倍になるという。 県がタマシャモのひなを年間約2万羽供給し、おじま自然農園(坂戸市)とレッドプルーム(深谷市)が生産。県立川越総合高校(川越市)でも授業の一環として飼育されている。大型の地鶏のため、取り扱いができる食鳥処理場が限られるなどの課題もあり、サイボク(日高市)などの県内一部店舗のみが販売。提供店も県内のホテルやレストラン、東京都内の地鶏専門店など限られている。 タマシャモは食肉用だが、県は2021年度から、タマシャモを基にした卵肉兼用種の開発を進めている。23年には肉質・産卵能力に優れ、ケージ飼育に適したサイズの候補鶏を決定した。
現在、希望農家による候補鶏の試験的飼育を実施中。26年度に供給を開始したい考えで、今後は、タマシャモと卵肉兼用鶏2種類のブランド展開を目指していく。