「本当にむずかしい子です」そう話すと思わず笑顔がこぼれて…神戸市立王子動物園の飼育員さんが語る、パンダのタンタンと過ごした最後の日々
神戸のお嬢様と呼ばれ、みんなに親しまれた王子動物園のジャイアントパンダ・タンタン。2021年3月から心臓疾患の治療を続けていましたが、2024年3月31日午後11時56分に息を引き取りました。 【写真】パンダのタンタンと過ごした、すばらしい日々 タンタンの生活をサポートするチームタンタンと共に過ごした最後の日々について、飼育員の梅元良次さんに伺いました。
観覧中止のまま
2021年3月に心臓疾患が見つかり、治療を続けてきたタンタン。同年11月22日に健康管理のために観覧中止となりつつも、12月14日には観覧が再開。しかし、食欲と運動量の減少によって、2022年3月14日から再び観覧が中止されていました。 観覧中止の間も毎日、公式Xに投稿されていた「#きょうのタンタン」で、最後にいつものタンタンの姿が投稿されたのは、2024年3月17日のこと。その数日前には、お庭でのんびり過ごすようすも投稿されており、亡くなる2週間ほど前まで、タンタンはいつも通りの日常を過ごしていたことがわかります。 タンタンが亡くなった翌日、4月1日に神戸市が行った臨時の記者会見では、飼育展示係長で獣医師の谷口祥介(たにぐちしょうすけ)さんから、3月13日には一時的に行動量が増えたというお話も出ていました。 この日は休園日である水曜日。公式Xにも外の運動場を活発に動き回る姿が投稿されていましたが、何かきっかけがあったのでしょうか。飼育員の梅元さんに伺うと「原因は、はっきりとわからないんですが……」としながら、「この日は『ああ、歩くなぁ』と思って。僕らは行動を数字で記録するんですが、数字的にも行動量が増えていたんです。ちょっと調子がいいのかなと思っていました」と、話してくれました。
「#きょうのタンタン」がストップ
しかしこのあと、行動量は戻らず。3月20日には「#きょうのタンタン」の更新をストップする事態となりました。更新を停止したときの思いについて、梅元さんは、「13日以降、薬入りのジュースを飲まなくなったため、一時的に更新をお休みして、治療に専念したいと思いました。そもそも『#きょうのタンタン』は、投稿を見てもらって、みなさんに温かい気持ちになってもらいたいというのがスタート。自分もそういう気持ちになれない時ですし、治療に専念するため、園と相談して中止しました」と、語ります。 「あの子の状況を見たら仕方がないこと」と、話す梅元さん。2020年から約4年間続いた『#きょうのタンタン』については「よく続いたなぁ」としながらも、「園として、今後のXなどでのタンタンの発信については検討中です」と、話してくれました。 これから公式Xに、タンタンが登場することはあるのでしょうか。 「#きょうのタンタンは、タンタンありきのものなので、いまはもうできないですね」(梅元さん) いつもの「また明日ね」は、もう聞けないんですよね、お嬢様。