気鋭のエンジニア、日本を離れマレーシアへ…データベースエンジン開発とコイン発行を目指す「同調圧力感じない」「暗号資産による所得は無税」
「日本では、コインの発行は無理」と判断した理由
小峰:マレーシアでこのサービスを展開されるとのことですが、なぜ日本でのサービス展開を考えなかったのでしょうか。やはり、暗号資産(仮想通貨)に関する規制が影響していますか? 飯塚さん:日本の場合、非中央集権のコインは認めず、すべて政府の監視下に置かれた中央集権のコインのみにしていきたいという圧力が強いのです。それは、規制面を見ているとよくわかります。明示的な規制だけではなく、暗黙の業界内での村社会的ルール(同調圧力)などもあり、あたかも非中央集権のコインはマネーロンダリングのツールであるかのような論調も結構あります。 小峰:非中央集権のコインは、日本の取引所で取り扱ってもらえないということでしょうか? 飯塚さん:はい。国内取引所で取引所が扱っていいコインの「ホワイトリスト」を、政府当局が管理しているというのもおかしいと思います。日本国内では、プライバシー保護の機能があるコインはホワイトリストに入れてもらえず、取引所から規制によってデリストされてしまいました。ZEC、DASHなどがそうです。 小峰:なるほど。 飯塚さん:ですが、通貨に対するプライバシーは世界的にも需要が高く、世界の暗号通貨ファンには、言論弾圧など、政府から身を守るために必要な権利だと考える人が非常に多いです。 小峰:税金についてはいかがでしょうか? 飯塚さん:日本では、オルトコイン同士の交換も課税されたり、少額の決済も課税されます。これでは、日本国内で非中央集権の暗号通貨は普及しません。マレーシアやシンガポールでは、コインの売り買いに課税がされないので、町中にふつうにあるATMからお金と同様に暗号通貨デビットカードで現金を引き出したり決済したりできます。さらに、取引所から自分のウォレットへの出金手数料の高さも異常です。
日本のような規制がないマレーシアで、コインの発行を目指す
小峰:マレーシアであれば、コインの発行も可能でしょうか? 飯塚さん:マレーシアには、暗号資産に関する日本のような規制はないので、コインの発行も可能です。私自身が日本居住者を外れ、マレーシア居住者になってから、発行する予定です。さらに、マレーシア国内で特定の相手に対して相対でコインを売ると、マレーシアの国内法が適用されて禁止されてしまう恐れもあるので、マレーシア国内で特定の相手に対して相対でコインを売ることはしません。マレーシア国外の人に対して取引所を通じて売ります。 小峰:マレーシアの税金面はどうですか? 飯塚さん:マレーシアには暗号資産のキャピタルゲイン・インカムゲインについての課税がないので、ブロックチェーン企業にはとても向いています。 小峰:アンチマネーロンダリング規制との関係ではどうでしょうか? 飯塚さん:犯罪収益の洗浄防止というアンチマネーロンダリング規制の趣旨はわかりますが、適用範囲が当初の趣旨を超え、米国が自国の都合よいように拡大解釈している気がします。マレーシアは、イスラム教国でイスラム金融のハブを目指していますし、米国ベッタリではありません。そうした点で、アンチマネーロンダリング規制による過度な規制を受ける恐れは低いと思っています。
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