【巨人】菅野智之流出でも田中将大獲得は見送り 背景に「ローテ若返り」の方針
阿部巨人が菅野智之投手(35)のメジャー移籍を機に、先発陣を一気に若返らせる。球団側は楽天から自由契約となる田中将大投手(36)について獲得を見送る方針を固めた。菅野の流出で実績ある先発はノドから手が出るほど欲しいはずだが、静観を決めたのは長期的な視点でローテ若返りを目指すためだという。 【写真】この頃とは立場が…石井一久から取材を受ける田中将大 電撃退団を表明した田中将の余波が収まらない。日米通算197勝右腕については巨人もヤンキース時代から獲得の可能性を模索し、水面下で調査を続けてきた。 しかも今季、15勝3敗の好成績でセ・リーグMVPにも輝いた菅野が海外FA権を行使してメジャー移籍を目指す。夢を追いかける一方、大黒柱が流出するチームには大きな痛手となる。しかし、そんな状況でも新天地で現役続行を目指すレジェンド右腕に反応することはなかった。背広組の一人はこう断言した。 「ウチが田中将の獲得に動くことはないです」 その背景には大きなチーム方針があるという。ある首脳陣は「菅野が移籍することで来季はローテの最年長が現在29歳のグリフィンになる。戸郷が24歳で山崎伊が25歳。ローテ全員が20代になる」と指摘。もちろんフロントは先発補強に向けて常に動いている。FA宣言したソフトバンク・石川柊太投手(33)を注視しているが、現場の意見はローテの若返りで一致しているという。 「伸びしろのある若手が一軍登板で経験を積むことができれば、今後、何年間も先発が安定する。そのリターンはとてつもなく大きい」(前出の首脳陣) それを象徴するように27日に行われた契約更改では、今季8勝を挙げた左腕・井上温大投手(23)が年俸5倍となる3400万円までアップした。「井上が1年間ローテで回れれば10勝以上は計算できる。井上の存在は他の若手にも大きな刺激になる。例えば5、6番手として横川、堀田、西舘、京本らが1人3勝してくれれば、菅野の穴は十分に埋まる」(同)とソロバンをはじく。 若手の〝旗頭〟となる井上は先の国際大会「プレミア12」で3勝をマーク。若き左腕も球団の期待は肌で感じており「来年ローテに入れると確約されているわけではない。奪い取る気持ちで、開幕ローテーションに入れるように」と力を込めた。 菅野の海外流出を田中将で埋めることなく、登板機会を得るヤングGがどれだけ成長できるか注目だ。
坂庭健二