10月までで200億ドル受注…韓国の発電所事業が海外で好調な理由
今年に入り韓国の発電所産業が沸いている。海外で発電所事業を受注したという朗報が相次いでいる。さらに発電源の種類が火力発電から原子力、再生可能エネルギーに多様化した。受注範囲も単純施工だけでなく付加価値が高い設計などに広がった。 建設業界によると、サムスン物産建設部門は37億ドル(約5664億円)規模のカタール淡水複合発電プロジェクトを受注した。サムスン物産は全プロジェクトのうち核心である28億4000万ドル規模の設計・調達・施工(EPC)を担当する。2021年にアラブ首長国連邦で2兆7000億ウォン(約2957億円)規模の超高圧直流送電網工事を受注してから最も大規模な海外発電所関連事業を受注した。サムスン物産のほか韓国南部発電と韓国海外インフラ都市開発支援公社(KIND)がそれぞれ3900万ドル規模の株式投資形式で事業に参加する。ウリィ銀行は5億8000万ドル規模で金融を提供する。 21日には韓国電力公社が30億ドル規模と推定されるサウジアラビアのガス複合発電所建設運営事業の落札者に選ばれた。この事業に発電機などを供給する斗山エナビリティは別に約2兆ウォン規模の売り上げを得られると期待される。韓国電力は2009年にUAEバラカ原子力発電所事業に参加してから15年ぶりに最大規模の発電所事業を受注したのだ。このほか韓国電力は最近サウジアラビア、米グアムで合計1兆1000億ウォン規模と推定される太陽光発電所建設運営事業を受注している。 原発受注の知らせも続く。韓国水力原子力、斗山エナビリティ、大宇建設の企業連合が7月に24兆ウォン以上規模のチェコ原発EPC事業優先交渉対象者に選ばれ事実上受注に成功した。韓国は2009年にバラカ原発を受注して以来となる最大規模の原発事業を獲得した。 4日には現代建設が140億ドル規模のブルガリア原発建設事業のうちインフラ設計を受注した。今後施工などを追加で獲得すれば総事業費の半分ほどを得られるものと業界は予想する。現代建設の立場では2009年UAEバラカ原発事業に参加した以後最大規模で原発関連仕事を受注したのだ。 今年海外発電所事業受注が集中しているのは統計にも現れている。海外建設協会によると、韓国の1~10月の海外産業設備工種(発電所など)受注金額は200億ドルほどで前年同期の110億ドルから2倍近く増えた。 韓国発電所人気の原因は複合的だ。何より2020年代に入り韓国が作ったUAEバラカ原発が商業運転に入り韓国が手がけた発電所の高い品質が認められた影響が大きいという分析が出ている。他の国と違い約束した工事期間を徹底的に守ってきた点が受注拡大の速度を高めるのに寄与した。エネルギー経済研究院のチョ・ソンジン選任研究委員は「韓国の発電所だけでなくインフラ構築、さらには防衛産業を含む産業全般に対し中東と東欧を中心に信頼が高まった」と話した。 海外建設協会関係者は「韓国の建設景気が沈滞する中で建設会社が海外発電所事業受注で活路を見いだそうとする傾向も影響を及ぼした」と解説した。韓国電力の場合、電気料金引き上げ遅延により200兆ウォンほどの負債を抱え込んでいる状況を打開するために海外発電所事業に目を向けることになったという分析も出ている。また、原発輸出の場合、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の脱原発政策を戻し業界を生き返らせるのに出た点も奏功したと評価される。産業通商資源部関係者は「今後も発電所受注が続くよう積極的に支援したい」と話した。 ただトランプ氏の米大統領当選で地政学的な不安が大きくなり海外受注環境が悪化する恐れもあるとの指摘も出る。韓国建設産業研究院は最近「第2次トランプ政権政策にともなう国内外建設市場見通し」で、「イスラエルに親和的なトランプ氏はバイデン政権の中東政策を批判し中東強硬策を予告した。中東の緊張度が高まる場合、中東の新規発注減少とプロジェクト遅延などで受注環境が悪化しかねない」と指摘した。