女川原発差し止め、2審も棄却 仙台高裁が住民側請求退けた1審判決支持
東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の重大事故時の避難計画に不備があるとして、石巻市の住民が東北電に2号機の運転差し止めを求めた訴訟の控訴審判決で仙台高裁(倉沢守春裁判長)は27日、請求を退けた1審・仙台地裁判決を支持し、控訴を棄却した。 判決理由で倉沢裁判長は「運転再開で生じる人格権侵害の危険が、運転差し止めを命じることができる具体的な危険に当たると立証されていない」と述べた。 女川原発は平成23年の東日本大震災で全3機が停止し、津波の影響で2号機の原子炉建屋の地下が浸水。今年10月、被災地の原発として初めて2号機が再稼働していた。 最大の争点は、宮城県が関与して石巻市が作成した重大事故時の避難計画の実行性の有無だった。 1審判決は原告側が事故の危険性について立証しておらず、避難計画の実効性については「判断するまでもない」として請求を棄却。原告側が控訴していた。 控訴審で原告側は事故は想定外に起きるため、具体的な危険性の立証は不可能と主張。現行の避難計画で重大事故が起きれば、周辺の道路が渋滞し、原発の30キロ圏内に長時間止められることになり、放射線被曝(ひばく)のリスクがあると訴えていた。 原発の避難計画を巡っては日本原子力発電東海第2原発の差し止め請求訴訟で令和3年3月、水戸地裁が地元の避難計画の欠陥を指摘して差し止めを認める判決を言い渡し、双方が控訴。東京高裁で審理が行われている。