坂本花織、フリー『シカゴ』の超ハードプログラムも最後まで貫き通す!「チェンジ」をテーマに全日本選手権4連覇へ
フリーの超ハードプログラム『シカゴ』
坂本が今季フリーのプログラムに選んだのは、ブロードウェイミュージカルにもなっている映画『シカゴ』だ。 「プログラムの内容としては、休む暇がないくらい振りが詰まっています。その流れでジャンプ・ステップ・スピンもある。あっという間に終わるような、映画やミュージカルを見ているような感覚で、スケートだけどショーを見ているみたいなフリーになっていると思います」と坂本はこのプログラムの難しさと魅力を語る。 かつて『マトリックス』などハードプログラムをこなしてきたが、今回は特に“キツイ”という。 ここまでの3シーズンは、表現力の幅を広げるため、さまざまなテーマのプログラムに挑んできた。 その中で、今季演じているのは「2面性のある女性のような表情で、笑っているけどストーリーとしても演じて(笑っていることを)隠している部分もあるので、自分も!と思ってやっています」と話す。
今年の全日本は“混戦の全日本”
「本当にたっちゃんも頑張ってるし、舞依ちゃんも頑張ってるし、咲綺ちゃんが神戸に来てからフルメンツがなかったので、『なんか激熱だね』という話をしていました」 今回の全日本では、坂本が所属する神戸クラブのメンバーである三原舞依・三宅咲綺・壷井達也に加えて、籠谷歩未が社会人スケーターとして2年目の今季、3年ぶりに全日本への切符をつかんだ。 「あゆ(籠谷歩未)は、いつも西日本(選手権)になると緊張してなのか、動きが鈍くなりがちなのですが、今年はショートもフリーもすごく落ち着ていると画面越しで伝わってきました。1つ1つ丁寧にやっていたので、これは悔いが残らない演技だなって思って見ていたら、“これいける!”と思って。 (全日本出場が)決まった瞬間に電話して、『もしかして決まった?』って聞いたら、『決まった』って。その瞬間にぶわーって涙が出てきました。うれしすぎて最高です!5人で(全日本に)行けるなんてめちゃくちゃ最高です!」 そんな中で挑む全日本だが、坂本にキャッチフレーズをつけてもらうと、「混戦の全日本」と答えた。 今年のGPファイナルでは、出場選手6名のうち5人が日本女子と躍動している。 「ジュニアでも190、200点近い点数を出す子もいる。1つのミスで順位が入れ替わるので。GP中国大会を見ていたんですけど、あまりの混戦具合に自分が出ていたら心臓、寿命が縮まってしまう!と思うくらいでした。でもそれが全日本ではありえるなって考えたら、めちゃめちゃ恐ろしいんですけど!」 躍動するライバルたちに負けじと、12月、坂本は12回目の全日本に挑む。さらに今年の全日本では、4連覇の偉業達成がかかっている。 「もちろん達成したい目標ではあります。全日本ならではと言えば、ジュニアの子も参加するので、そこが一番の緊張ポイントです。自分らしい滑りをして、満面の笑みで終われるようにしたい」 絶対女王にあぐらをかかず、自らを鼓舞する坂本。「CHANGE」のその先へ、運命の瞬間を見届けたい。
フィギュアスケート取材班