<新紙幣、新時代。>栄一翁の想い継ぐ~(3) 大野元裕知事「渋沢翁は真心と思いやりを大切にした人格者」
2024年7月3日、ついに発行となった新1万円札の肖像となる渋沢栄一翁は、我々の故郷・埼玉県深谷市の出身です。 長蛇の列!新1万円札の両替求め大行列、店外に延びる 銀行スタッフ1・5倍に増員「待ち遠しかった」
「道徳経済合一」や「論語と算盤」など栄一翁の精神は、変化に富む現代においても脈々と受け継がれ、多くの日本人がその魂に触れ、影響を受けています。 「新紙幣、新時代。~栄一翁の思い継ぐ~」では、地元深谷や栄一翁にゆかりのある皆さんに、栄一翁の残した「言葉」を選んでもらい、語っていただきました。 ■「道徳経済合一説 仁義道徳と生産殖利とは元来共に進むべきものであります」(大正12=1923年、帝国発明協会での演説より) 埼玉が生んだ偉人、渋沢栄一翁がデザインされた新1万円札の発行を大変うれしく思います。渋沢翁は「近代日本経済の父」と呼ばれ、生涯約500もの企業の創設等に関わったほか、約600の教育・社会公共事業に取り組むなど多大な功績を残されました。これらの企業や社会事業の多くが名前を変えつつも今も残っています。渋沢翁が関わった企業がいかに社会に必要とされてきたか。裏を返せば、渋沢翁は日本経済の発展のため本当に大きな力を果たされたことが分かります。
渋沢翁は真心と思いやりを大切にした人格者でした。渋沢翁の行動力と高潔な精神を育んだのは、わが埼玉であり、県民の誇りです。県としては新札発行を契機に様々なイベントや事業を企画して祝賀ムードを醸成していくとともに、改めて渋沢翁の偉業に触れてもらい、「渋沢といえば埼玉」を県民、全国の皆さんに発信していきます。 渋沢翁は生涯を通じて孔子が論語で説いた「忠恕(真心と思いやり)の心」を重んじ、政治や実業に関わる際にも経済と道徳を両立させた「道徳経済合一説」による日本の発展を提唱しました。100年前のことですが、その思想は今、世界で求められている経済成長と環境や社会の調和を図る「SDGsの精神」そのものです。先見の明と志の高さには敬服の念に堪えません。 道徳経済合一説には他者との分断でなく、融合や思いやりを求める埼玉の県民性に通じるものがあると感じます。私も渋沢翁の教えにならい、あらゆる人に居場所があり、活躍でき安心して暮らせる「日本一暮らしやすい埼玉」実現のため、様々な施策を進めています。今後も渋沢翁の精神をしっかりと引き継ぎ、埼玉の未来に向けて責任を果たしていきたいと思います。