道路・市街地の除雪あと「巨大な雪壁」行く末とは! 知られざる「排雪」テクニック「世界No.1の現場」インタビュー
筆者が暮らす札幌市の人口は約200万人。人口規模では我が国第5の都市だ。冬になると約5mもの雪が降るが、これだけの雪国でこの規模の人口は世界的に見ても珍しいそうだ。そのため、札幌市の除雪・排雪技術は世界一とも言われている。 ■【画像】崖っぷち数十cmを大型トラックで攻める凄技! 知られざる巨大「雪堆積場ステージ」での排雪テクニックの写真12枚を見る 「除雪」と「排雪」は何が違うのか。降雪量の少ない地域や、雪なし県の方には馴染みのない言葉かもしれない。 「除雪」はいわゆる「雪かき」。歩道や車道に積もった雪を両脇にかきわけて積み上げるのが一般的だ。除雪作業で作られた高さ2mにも及ぶ雪の山や壁は、まさに街中の死角。道路が塞がれ見通しは悪くなり、ドライバーや歩行者にとって大変危険だ。 「排雪」は除雪で作られた雪の山や壁を重機で取り除き、定められた場所に運ぶこと。大型トラックにたくさんの雪が積み込まれるのは昼夜問わずよく目にする光景だが、そのトラックがどこに向かうのか? 今回は目的地である「雪堆積場」を取材した。
■本当に全部雪? 地面のように押し固められた道に驚愕!
札幌市には全部で約80か所の雪堆積場があり、そのうち誰でも使える雪堆積場は約30か所ある。今回はその一つ、上篠路(かみしのろ)地区雪堆積場の取材許可を特別にいただいた。多くの重機が行き交い、まるで工事現場のように危険を伴う場所であるため、アポなしでの立ち入りは厳禁だ。 上篠路地区雪堆積場は丸彦渡辺建設株式会社の所有地で、広さは11.1万平方メートル。札幌市でも最大クラスで、札幌ドームを超える広さを誇る。受け入れ時期は12月1日から3月末日までで、休業日以外は24時間体制となっている。 入り口を過ぎるとすぐに目に入るのは、高さ20mにも及ぶ巨大な雪山。3月に入り最盛期を過ぎたにも関わらず、この日は9時~12時の時間帯で、雪満載のトラックが458台も往来していた。排雪の最盛期は1時間に300台もの大型トラックが入ってくるという。 「夏のように雪のない季節は平地ですが、12月になり排雪が始まるとその雪で山を作ります」と話してくださったのは井田さん。「もうずいぶんとけましたが、この道も固めた雪なんですよ」筆者が土の地面だと思って歩いた道は、雪を固めて作った雪山だった。