【バレー】ブラジル・スーパーリーグ、松井珠己のマリンガが連敗を脱出
残すところ5試合となり、上位8チームが進出する準決勝に向けて激しい争いとなっているブラジルのバレーボールスーパーリーグ。12チームがホーム&アウェーで22試合行う。セッター松井珠己選手の所属するウニライフ・マリンガ(以下、マリンガ)は、前半を6勝5敗で折り返すも、後半に入り6連敗で6勝11敗の9位。 前半波に乗っていたマリンガだが、後半戦に入る前にブロックの要であったMBフランシーネ選手がけがで離脱。マリンガのガウデンシオ監督は、「1月初めのMBのけがの離脱からけが人が続き、なかなかスタメンが固定せず、安定感を欠いてしまったのが連敗の原因」と分析する。 マリンガはサーブのレセプションがあまり良くないチームなのだが、メンバーが固定しないことで、リベロとの横の連携やセッターに入らなければ誰が上げるのか、2段トスが崩れた時にスパイカーがここで決めなければというあせりといったようないくつものミスが重なり、全体の流れが悪くなるという悪循環になっていたようだ。
テンポ良くラリーを制す
取材日は最下位サンカエターノとの試合で、8強争いの残りの試合に弾みをつけるためにも、負けられない一戦だった。 第1セット、サービスエースで流れをつかんだマリンガ。中盤に相手のサーブに苦しむがスパイク得点で突き放し、25-20で先取する。第2セットは相手のサーブミス、スパイクミスで差をつけ大量リードを奪う。長いラリーをリベロの好レシーブを軸に全員でつないで決め、終盤はMBの攻撃がさえ25―13。第3セット、6-0とリードするも、相手の反撃に苦しみ、互いに点を取る展開へ。20点を過ぎてからマリンガに立て続けにミスが出るが、相手のミスもあり25―21のセットカウント3-0で勝利した。
松井選手と対戦相手サンカエターノのウイリアム・カルバーリョ監督に話を伺った。 ―やっと連敗脱出できました。 松井:自分のコンディションはいいのですが、勝てなかったことに責任を感じてしまった部分があって、どうしたら勝てるか考えてしまったんですが、それが今日はいい方向にいって良かったです。連敗している中で、自分たちより上位チームと下位チームの試合があったのですが、ブロックのスピードも上位チームは全然違います。同じようにトスを上げても通用するチーム、しないチームがあるので、強いチームに対抗できるようにスピードをあげるなど、考えながらやるトス回しが大事だと思いました。自分のチームのスパイカーからはネットに近すぎないようにと言われているので、近く低くならないようにいつも気を付けています。 ―けがでレギュラーが固定せずメンバーが変わりますが、セッターの立場でどのようにチームメイトに声をかけたりしているのですか。 松井:今はミドルが変わっているので、先にこれに入って欲しいというのは伝えています。慣れていれば言わなくても入ってきてくれたんですが、迷うと判断が遅くなってしまうので、ある程度いくつか最初に決めておいて、その中から選択を早くできるようにしています。 ―若い選手は先に打たせて調子を乗らせてという感じなのでしょうか。 松井:チーム全体が若いので、今日は誰にスタートを持っていこうというのは考えますが、いつもその人を先に乗せるという固定はないです。レフト、ライト、その日によって、また相手によっても違ってきます。 ―日本代表のセッターの関菜々巳選手も東レを退団して海外を希望していると聞きました。海外でセッターというのはコミュニケーションなど難しいポジションだと思いますが、何かアドバイスはありますか。 松井:いえいえいえ、(私からアドバイスなんて……という感じで)全然ないです、ないです。一緒に頑張っていけたらと思います。 対戦相手サンカエターノのウイリアム・カルバーリョ監督は、1984年ロス五輪の銀メダルチームのキャプテンでセッターだった。 ―監督にお伺いします。日本人のセッター、タマキはどうですか。 カルバーリョ監督:彼女はとてもいいと思います。ブラジルにいないタイプです。とても丁寧に上げていますが、もう少し大胆さがあってもいいかなと思います。ブラジルの選手も日本のリーグにいますが、互いに刺激になるといいですね。私も現役時代、11回も試合で日本へ行きました。 ―残念ながらサンカエターノはここまで18戦全敗です。 カルバーリョ監督: スーパーリーグBで戦う予定だったのが、急に繰り上げで参加することになり、準備不足が響いています。若いこれからの選手が多いので、リーグBに比べ試合数も多く、レベルも高い、移動もある、良いことも悪い部分もすべてが経験です。来季につながる経験だと思います。 試合後にホッとしたような表情だった松井選手。サーブのレセプションが短くなる場面も多かったのだが、ボールをうまく散らし、スタッツを見ると、ポジション別の得点配分がOP31%、OH33%、MB36%と、どのポジションからも満遍なく点が取れていた。特にこの日はMBの動きが良く、相手のブロックが的を絞れずに、1枚になるケースが多かった。この勝利でマリンガは8位に浮上したが、6~10位どこも接戦なので、まだどこが8位以内に入るかわからない。