【歯科医師解説】運動中の怪我や事故から歯を守るスポーツ用マウスピース(マウスガード )とは?
歯科で作るスポーツ用マウスピース(マウスガード)は保険診療? 自由診療? 費用や作製の流れ・期間について
編集部: 歯医者さんで作るスポーツ用マウスピースは、保険が適用されるのでしょうか? また費用の目安も教えてください。 阿部先生: スポーツ用マウスピースの作成は保険が適用できません。自費診療となるため、費用は受診する歯科医院やマウスピースの種類によって異なります。費用の目安は1つにつき1~3万円前後です。 編集部: 歯科医院でスポーツ用マウスピースを作る場合、通院回数や作製期間はどれぐらいかかりますか? 治療の流れなども教えてください。 阿部先生: 1日目にお口の中を確認し、とくに治療の必要がなければその日のうちに歯型取り、次回の来院時に完成したマウスピースをお渡しします。ですので、型取りから完成までは1週間~10日前後になります。その後、もう一度来院していただき、実際に使ってみて痛みや不具合がないかをチェックし、必要に応じて調整を行います。 編集部: そうすると、通院回数としては「3回」が目安になるのですね。 阿部先生: 基本的にはそうです。ただし、むし歯や歯周病の治療が必要な場合はそちらが優先となるため、実際にマウスピースが手に入るまでにはもう少し回数や期間がかかることがほとんどです。
歯医者さんと既成品、どちらがいい? スポーツ用マウスピース(マウスガード)の種類や選び方、使い方の注意点
編集部: スポーツ用マウスピースには、歯医者で作る以外に既製品も販売してありますか? 阿部先生: その通りで、スポーツ用マウスピースはスポーツ店やネット通販でも既成品が販売されています。既製品はある程度の形が出来上がったものをお湯につけて柔らかくし、口に入れて指で圧接しながら自分の歯型にあわせていきます。 編集部: スポーツ用マウスピースは既製品よりも、歯科医院で作るほうがいいのでしょうか? 阿部先生: そうですね。歯科医院で作製するマウスピースは「カスタムメイド」なので、既製品よりもフィット感が優れて外れにくいというメリットがあります。そもそも、スポーツ用のマウスピースは自身の歯型にピッタリ合ってないと本来の効果が発揮できません。したがって、その効果を十分に得たい場合は歯科医院で作製するカスタムメイドタイプをおすすめします。 編集部: スポーツ用マウスピースを使用する際の注意点を教えてください。 阿部先生: スポーツ用マウスピースは歯にかなり密着しますので、使用前には必ずしっかり歯を磨いてから装着するようにしてください。また、スポーツ選手で注意したいのが、スポーツドリンクの飲用です。イオン飲料には糖分が多く含まれていますが、マウスピースを装着したまま飲んでしまうと歯に糖分が密着し、むし歯のリスクを高めてしまいます。したがって、糖分を含む飲料を飲んだあとはうがいや歯磨きをしっかり行っていただきたいです。 編集部: 最後に、読者へメッセージをお願いします。 阿部先生: スポーツは全世代の方々が楽しまれるものですが、その際に自身だけでなくほかの選手の歯や体を守るうえで、スポーツ用マウスピースは安全対策の1つとして非常に有効です。一方で、その重要性を知る機会がないと歯科医院でマウスピースを作ってみようという気持ちも生まれにくいと思います。本記事がそのきっかけの1つとなれば幸いです。