なにわの伝統野菜知って 大阪の農業フェアで知る個性的な料理
生産量少ない、なにわの伝統野菜
なにわの伝統野菜知って 大阪の農業フェアで知る個性的な料理 撮影:岡村雅之 THEPAGE大阪
市民に都市農業への理解を深めてもらう大阪市農業フェアが19日、大阪市鶴見区の花博記念公園鶴見緑地で開かれ、新鮮野菜の即売会などでにぎわった。生産量が少なくて入手しにくいなにわの伝統野菜も登場し、人気を呼んでいた。 【拡大写真付き】伝統のパロディ菓子発想は大阪の立ち飲み店で? オリオンへ潜入
田辺大根の大根炊きは深い味わい
主催は大阪市とJA大阪市で構成する同フェア開催委員会。農家の栽培技術を競い合う農作物の品評会と、品評会後の出品作品の即売会などで、都市農業の存在感を示し、市民に都市農業への理解を深めてもらう。 伝統野菜の復活普及に取り組む大阪市なにわの伝統野菜生産者協議会がブースを出展。旬を迎えている天王寺蕪、田辺大根、金時人参を2回に分けて販売したところ、持ち寄った約400点がまもなく売り切れた。 伝統野菜は品種改良前の原種であるため、いつも食べ慣れた野菜と比べて、かなり個性的。料理で個性を上手に引き出すと、豊かな味覚の世界が広がる。 協議会では「天王寺蕪のシーフードシチュー」「金時人参のきんぴら風オイスターソース炒め」などのレシピを添えて販売。農家にとって伝統野菜は栽培が難しい分だけ、愛情もひとしおのようだ。 隣接する田辺大根の大根炊きコーナーで、大鍋から湯気がわきあがる。田辺大根初体験の筆者も試食してみた。しっかりして煮崩れしていないのに、滑らかできめがこまかい。かすかにほろ苦く、じんわり甘い。相反する食感と風味で、味わいに深みが増す。大阪は食の都であるだけに、伝統野菜の持ち味を生かす新しい名物料理で盛り上がりたい。
品評会出品の自信作野菜を割安で提供
品評会の審査結果が発表され、大阪市長賞などの入賞作品が展示された。その後、入賞作品も含めて品評会に出品された農作物が、割安価格で販売された。 農家の自信作ばかりが勢ぞろい。天候不順などで野菜価格が高止まりする中、白菜ひと玉300円、大根、カブ、ネギなどが100円で提供され、販売開始から20分たらずで完売した。
女性グループは、購入した野菜を持ち寄って、交換タイム。短期決戦なので、「並んでいるときから、どの野菜を誰が買うか分担を決めていた」という。互いの好みを聞き合いながら、楽しそうに交換が進む。シェアの時代にふさわしい生活の知恵だ。 東淀川区の上新庄からバスで、平野区から地下鉄で買い出しに来た女性もいた。それぞれ大きな荷物とともに、満足気な表情で家路を急いだ。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)