【宮本慎也】エンドランにバント…4番岡本和真との勝負を放棄するよう 戦術切り替えも「あり」
<DeNA5-4巨人>◇27日◇横浜 延長戦を制したのは、DeNAだった。最後は宮崎のサヨナラ本塁打で決まったが、巨人は試合終盤の8回に主砲の岡本和真の同点2ランで追い付いた試合だっただけに、勝たなければいけない試合だっただろう。そこでなぜ、得点力が上がらないかを考えてみたが、今試合での岡本和の打席内容を振り返ると、その“答え”が隠れているように思う。 相手チームの岡本和へのマークは、かなり厳しい。初回2死二塁からは外角のスライダーに空振り三振。3回2死二塁では外角スライダーを打ってセンターフライ。この1、2打席は先発の平良で、合計で11球を投げている。一塁が空いている状況であり、甘い球は1球もなく、まともに勝負してくれなかった。 一転して3打席目は、6回に先頭打者で回ってきた。投手は2番手の中川虎で、初球はフォークが高めに抜けてボール。2球目の高めのストレートを打って三遊間を破るシングルヒット。そして4打席目の2ランはウィックからで、カウント1-1から真ん中のストレートをホームランにした。ここまでの全打席での甘い球は3球だけ。そのうちの2球をヒットとホームランで仕留めている。延長10回1死からの5打席目も、厳しい攻めが続いた。 これは個人的な印象だが、岡本和はヤマを張って難しい球をホームランにするより、甘い球を逃さずにホームランにするタイプだと思っている。そしてバッティングカウントでは積極的に強振してくる打撃スタイルで、13本のホームランは、走者なしが6本。走者一塁が5本。走者二塁が2本で、走者二、三塁という状況では1本もホームランを打っていない。 この傾向は岡本和の打撃スタイルだけの問題ではない。今試合では大城卓がソロを放ったが、岡本和の後を打つ打者が固定できないでいる。相手バッテリーも岡本和へは四球でもいいと考えて攻めている証拠だろう。先頭打者が出塁した1打席目は初球にエンドランを仕掛け、2打席目は送りバント。わざわざ岡本和とまともに勝負する状況を放棄しているようなゲームプランになった。 今試合、3番のヘルナンデスは一塁が空いている状況で4度の打席があったが1安打だけ。ここまでの通算でも10打数1安打で、ホームランは1本もなし。今年の巨人は送りバントを多用するが、ヘルナンデス、岡本和の3、4番は確率が悪い戦術だと言える。現時点で信頼できる打者は、丸佳浩、ヘルナンデス、岡本和の3人。それならば送りバントをせず、1番から3番までこの3人を並べて複数得点を狙う戦術に切り替えるのも「あり」だと思う。どうだろうか?(日刊スポーツ評論家)