文章を読むだけで老眼改善!眼科医が教える新感覚“目トレ”1日1分の「マジカルフレーズ」
目のコリをほぐすお手軽ストレッチ
近くを見続けることで、こわばってしまった目の筋肉をほぐすのにおすすめなのが、松岡先生考案のトレーニングメソッド「マジカルフレーズ」だ。短い文章を逆さまやジグザグに読むことで目の筋肉を動かし、コリをほぐしていくストレッチだという。 「特に目をさまざまな方向に動かす外眼筋に効果的です。この運動で大切なのは、眼球をゆっくり動かすこと。これによって全身がリラックスした状態になり、目の筋肉の緊張がほぐれ、血流もよくなります。 日本人の中途失明の原因第1位である緑内障は、眼圧上昇による血流低下が原因だといわれています。血流をよくすることは目にとって、とても大切なことなのです」 さらに、血流がよくなることで涙も出やすくなり、ドライアイにも効果が見込める。 「心に響く文章ばかり集めているのは、副交感神経が優位になり、涙の量を増えやすくするためなのです」 また、これまでの視力回復法の多くは、目を上下左右に大きく素早く動かして眼筋を鍛えるものが主流だったが、それらはいわば目に負荷をかける強力な筋トレのようなものだという。 「眼筋を鍛えることで瞬発的には視力検査などでいい数値を出せますが、目の疲労は改善されません。 それよりも、目の疲れを癒し、例えば老眼のピントの合う範囲が少し広がるような、生活が少し改善された状態が長く続くほうが、助かる人が多いのではとこのストレッチを考案しました」 マジカルフレーズを試した人の中には、2週間で視力が0.5から1.0になり、老眼も改善し小さな字が見やすくなった50代女性のケースも。 「年齢や症状によって効果はさまざまですが、視力検査の他、眼精疲労の度合いを調べる検査でも改善されていることがわかりました」
無理せずゆっくり目の筋肉を労って
ゆっくりとした目の動きに加えて、文章が逆さまや斜めになっていることもマジカルフレーズの特徴。 「ヨガで普段やらない特殊な姿勢をとるように、あえて普段とは異なる読み方をすることで、あまり使われていなかった目の筋肉が動き、ストレッチ効果がアップします。眼球の動きもよくなりますよ」 さらに、逆さ読みという普段とは異なる動きが、脳の視力を司(つかさど)る視覚野を刺激し、見たものを認識しやすくなる。 「時間の目安は1日1分、目が疲れない程度の時間です。視力をよくするぞ!と意気込んで一度に1時間も2時間も行うと目に疲労が蓄積するうえ、交感神経が優位になって逆効果になってしまいます。無理なく、ゆるく続けることが大切です。 目の周りの筋肉を意識しながら、1日頑張ってくれた目に、お疲れさまという気持ちを込めてストレッチをしてみてください」 心身共にリラックスしている就寝の1時間ほど前がおすすめだが、仕事や家事の合間に気分転換に取り入れても効果がある。 「目の筋肉を動かすことが目的なので、頭は固定し目玉を動かすことを意識してください。慣れてくると、つい早く目を動かして文字を読みたくなりますが、1文字ずつ丁寧に目で追うことが重要です」 毎日行うことで、目の不調改善が期待できるマジカルフレーズだが、目への負担をかけ続ける生活習慣を送っていては効果が出づらい。 「スマートフォンを使う時間を1日2~3時間程度にする、寝る前には使わないなどのルールを決めて、目を労る習慣をつけることをおすすめします」 また、目に違和感がある場合や、急激な症状の変化を感じたときは早めに眼科を受診してほしいと松岡先生。 「急に近視や老眼が進んだと感じたときは、その裏で白内障や緑内障が進行している可能性があります。 目の病気や症状は、放置しているとどんどん進行して、気づいたときには大がかりな治療をするはめに。40歳を過ぎたら、年に一度は眼科医による目の検査を受けるようにしてください」