【9番街レトロ・京極風斗】他人と良好な関係を長く築くために、最も大切なこと
神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動している芸人「9番街レトロ」の京極風斗(きょうごく・かざと)さんは、極端なほどに“0か100か”で生きている。そんな京極さんは、楽に、そして長く人と付き合えるタイプなんだとか。春は、新たな人との出会いも増える時期。もし人間関係に悩みや不安を抱えているなら、ぜひ参考にしてみて。きっと、あなたも楽に、いい人間関係が築けるようになるはず。 【新生活の心得】「はじめこそ適当に」
9番街レトロ・京極風斗
連載【0か100かで生きてゆく #64】 ー はじめこそ適当に ー
Illustration: Kazato Kyogoku
好感を得る方法
他人と良好な関係を長く築くために、最も大切なことを教えます。 最初から頑張りすぎないことです。 例えば付き合いたての頃、一生懸命デートプランを考えたり、荷物を持ってあげたり、最後は駅まで送ってあげたり、しちゃうと思うんですよね。いい人だと思われるために。 もちろん相手を思いやる行動として素晴らしいことではあるんですが、それって生涯同じようにやれますか? 一生同じぐらい尽くすと誓えますか? できるならいいんですが、多分無理ですよね。 付き合って1年たった頃にはもう、デートプランも練らないし、荷物も持たないし、駅まで送らないで適当にバイバイしますよね。 別に悪いことではないんですが、相手からすれば、なんとなく愛が薄まった感じがしますよね。 「初めだから頑張りすぎている」ということを、相手がきちんと理解して受け取ってくれているならまだいいのですが、それを頑張りではなく、「普段からそういうことができる素晴らしい人間なんだ」というふうに受け取られた場合どうでしょう。 1年後のあなたの行動は、「普通に戻った」のではなく、「蔑ろにされている」と受け取られてしまう可能性があるのです。 人間関係において、「初めの頃の行動」は無意識のうちに『約束』になっていて、慣れた頃の行動は無意識のうちに『裏切り』になっていることがあり得るのです。 なので、好きな人とのデートの前は一度深呼吸して、自分が今日相手にしてあげようとしていることを冷静に見直してください。 10年後、20年後も、同じようにできる自信のある方だけが、そのように動いてください。 僕はむしろ、自分が生涯できることよりも下のラインで相手と接するようにしています。 当然嫌われることもあり得る動きですが、もしもそれを受け入れてもらえた場合、その人とはかなり楽に、そして長く付き合えます。 良い印象を持っていた人間が普通になるより、悪い印象を持っていた人間が普通になるほうが好感を得ます。 どちらも結果的に普通になるのであれば、そこまでの過程で良かったほうがいいに決まっているのに、実際はマイナスからゼロになった人間のほうが褒められるんです。 まことに不条理ですが、人間の心理ってのはそういうもんです。 仕事もそうです。最初は怒られないギリギリのラインで、できないフリをしてる奴が一番賢いんです。 「昔はやってくれてたのに」なんてバカくだらない喧嘩を避けるためにも、「昔からやってない奴」でいることは大切です。 「期待させない、期待しない。」 少し寂しいですが、良好な人間関係において最も大事なことだと思います。 自分が初めに良い格好をしているかどうかが分からない方は、学校の授業で使っていた、または今現在使っている学習ノートを見てみてください。 初めの数ページだけ、やたら綺麗な字で書いていたら、あなたはそういう人です。 気をつけてくださいね。