パロディ駄菓子の発想は「いちびり精神」。学生のアイデアで新たな可能性も/大阪
数々のパロディ駄菓子をヒットさせてきた大阪の子ども菓子専門メーカーに最近、多彩な分野から共同開発の依頼が舞い込んでいる。パロディ商品が学生たちの研究テーマにもなっているという。大阪のいちびり精神が開花し、社会貢献の新しい可能性を探っている。 オリオン(本社・大阪市淀川区)の創業は1948年。創業まもなく開発したパロディ駄菓子の古典的名作「ココアシガレット」や、70年代に登場したコーラ味のラムネ菓子「ミニコーラ」は、今なお人気のロングセラーだ。子ども向けながら大人も楽しめるパロディ駄菓子を世に送り出し続けてきた。 近年の話題作は「おくすりやさんチョコ」シリーズ。ネーミングの妙が持ち味で、かぜ薬名にちなむ「もう解散」などの最新作には、大阪でデザインを学ぶ専門学校生たちのアイデアが生かされている。常務取締役企画本部長の高岡五郎さんは「専門学校で当社の商品開発を授業に組み込んでもらっています。学生たちのネーミングやパッケージデザインのアイデアを集めて商品化しています」と話す。駄菓子版産学連携が実現しているわけだ。
喜んでもらってこその「いちびり精神」
「訴訟や苦情のリスクを冒してまでも、パロディ商品を作り続けるのはなぜですか。教えてください」。昨年、高岡さんに問い合わせの連絡が入った。問い合わせの主は首都圏の女子高校生で、パロディ商品のマーケティング的考察に取り組んでいるという。高岡さんは女子高校生を本社に迎え入れ、3時間にわたって応対した。 「大阪ではおもしろいと自己満足するだけではだめ。笑って喜んでもらってこその、いちびり文化。いちびりはおもてなしの文化につながっています。だから、どんなにおもしろくても、人を傷つけるようなパロディ商品は作っていません。そんな当社の開発理念を説明すると、納得して帰っていただきました」(高岡さん) 後日、高岡さんの元に、女子高校生から分厚い研究リポートが送られてきた。関西の大学生チームは駄菓子産業論を卒業論文のテーマに選び、高岡さんを訪ねてフィールドワークにいそしんだという。