扶養内で働く人はデメリットだらけなの?2024年10月から厚生年金保険の適用が拡大!
適用拡大によるメリット
厚生年金の適用拡大の主なメリットは次の2つです。各メリットについて解説します。 ・将来もらえる年金額が増える ・労働時間の制限がなくなる ●メリット1:将来もらえる年金額が増える 配偶者の扶養で国民年金第3号被保険者に加入している人は、保険料の負担がない代わりに受給できる年金は老齢基礎年金だけです。 厚生年金に加入すれば、老齢基礎年金に加え老齢厚生年金も受給できます。 老齢厚生年金の年金額(加算を除く)は、次の通り計算します。 ・老齢厚生年金=平均標準報酬額×5.481/1000×厚生年金加入月数 厚生年金加入中の報酬(交通費を含む、賞与なし)が毎月8万8000円の場合、平均標準報酬額も8万8000円です。この場合、厚生年金加入期間による老齢厚生年金額は次の通りです。 ・10年:約5万8000円 ・20年:約11万6000円 ・30年:約17万4000円 ・40年:約23万2000円 受給額が年間10万円増えると、65歳から85歳まで受給する年金は総額で200万円増えます。人生100歳時代に備えて、年金額を増やすことは有効な対策です。 ●メリット2:労働時間の制限がなくなる 扶養内で働いている人は、給与が増えすぎないように勤務時間を制限する人も多いでしょう。 また、勤務時間が制限されることによって、責任のある仕事に就けずキャリアアップのチャンスを逃しているかもしれません。 扶養内にこだわらなければ、次の通り仕事の可能性が大きく開ける可能性もあります。 ・収入が大幅にアップする ・重要な仕事を任される、昇進・昇格する ・仕事を通じて自己実現する、能力を発揮する 少子高齢化による人手不足が深刻化する中、女性の積極的な労働参加も求められています。
まとめ
厚生年金の適用拡大により、2024年10月から従業員数51人以上の企業に勤める短時間労働者にも厚生年金の加入義務が生じます。 社会保険料負担が発生し、勤務時間が変わらなければ手取り収入は減少するでしょう。 しかし、厚生年金加入により将来の年金額は増えるなどのメリットもあります。 老後対策として、また自分の可能性を広げるために扶養の範囲を大幅に超えて仕事をすることも検討してみましょう。
参考資料
・厚生労働省「社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について」 ・日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」 ・日本年金機構「報酬比例部分」
西岡 秀泰