「甲斐」「大山」争奪戦勃発前の“大城の巨人残留”が意味するもの 岡本の“米移籍”は織り込み済み、複数年でも「中田方式」の指摘
甲斐、大山獲得の感触を「測りかねている」
さる在京球団編成担当はこう指摘した上で、「巨人残留」のもう一つの理由を挙げた。 「甲斐、大山を獲得できるかどうか、巨人が感触を測りかねているからですよ」 巨人がFA市場で「1強」だった一昔前なら、「調査している」と報道された時点で獲得は既定路線になっていた。しかし、近年は昨オフにオリックスからFAの山崎福也投手(日本ハム)、一昨年オフに西武からFAの森友哉捕手(オリックス)の獲得が立て続けに不発に終わった。昨季までFAで獲得した選手は3年連続でゼロだ。 「このオフの甲斐や大山も獲得できるかどうかは予断を許さないところです。特に大山は過去に前例のない阪神から巨人へのFA移籍となります。両選手ともに最終的に古巣残留までの条件面引き上げのダシとして、巨人が一役買ってしまうこともあり得ますから……」(同前) 大城卓は当然、そのことを把握しているという。 「2人とも巨人に来ないとなると、状況は今季と変わりません。岡本(和真内野手)が再来年にも大リーグに行くでしょうから、一塁のポジションは空きます。そうなると今季以上に大城の一塁での出番が増える可能性が高いです」(同前)
付帯条件に“オプトアウト”も
今季の巨人捕手陣は岸田行倫捕手(28)がチームトップの79試合、続いて小林誠司捕手(35)が41試合だった。岸田は大城卓より年少だが、小林は年齢的に来季からプレー機会が劇的に増えていくとは考えづらい。一塁と捕手、両構えの大城卓に強みはある。 仮に巨人が甲斐、大山の“両獲り”に成功したとしても、大城卓の一塁での出番がなくなるわけではない。今季から三塁に本格転向した坂本勇人内野手(35)は現役生活の終盤に差しかかっており、既にフルシーズンでの活躍は望めない。坂本の休養日には三塁守備で豊富な経験を持つ大山が入り、岡本和が今季15試合で守備に就いた外野に回れば、大城卓の一塁出場が見込まれる。 岡本和が米挑戦を完全に断念するなどの予期せぬ事態となり、大城卓の出場が厳しくなるなら、どうだろうか。前出の編成担当は、昨オフに中田翔内野手(中日)が権利を行使した「オプトアウト」に言及する。 「大城はたとえ複数年契約を結んだとしても付帯条件として、途中で契約を破棄できるようにしておけばいいのではないでしょうか。そうすれば条件的に恵まれているであろう巨人の複数年契約で保険をかけておいて、いざとなれば他球団で勝負することも可能です」(同前)