ニューヨーク近代美術館など手掛けた建築家、谷口吉生さん死去 87歳 世界文化賞受賞
ニューヨーク近代美術館(MoMA)新館などの美術館や博物館を多く手がけ、平成17年に高松宮殿下記念世界文化賞を受賞した建築家の谷口吉生(たにぐち・よしお)さんが16日、肺炎のため死去した。87歳。葬儀は近親者で行った。喪主は妻、久美(くみ)さん。後日、メモリアルの会を開く予定。 昭和12年、東京生まれ。慶応大工学部卒、米ハーバード大大学院修了。40年から建築家の丹下健三に師事し、54年、谷口建築設計研究所を設立した。 資生堂アートハウス(静岡県掛川市)は優美な曲線と四角形を巧みに組み合わせた手法が話題を呼び、55年に日本建築学会賞を受賞。土門拳記念館(山形県酒田市)は、独立した横に長い壁面によって人工池を区切り、壁の開口部を通じて景観と建物を融合した独創性で吉田五十八賞、日本芸術院賞を受賞した。 その後、ガラスドームと海面がつながって見える人工池が注目された葛西臨海水族園(東京都江戸川区)や、清掃工場内部をガラス張りにし、巨大な焼却炉などをオブジェのように見せた広島市環境局中工場、東京国立博物館法隆寺宝物館、京都国立博物館平成知新館など、素材の質感を生かした簡素でシャープな建築で作品ごとに高い評価を得た。 平成20年、日本芸術院会員、23年、旭日中綬章受章。令和3年、文化功労者。今年11月の世界文化賞授賞式に元気な姿を見せていた。