ホンダ・日産、年間販売台数でBYDに抜かれる見通し-単独で勝てず
(ブルームバーグ): ホンダと日産自動車が25日に発表した1-11月の累計世界販売台数はそれぞれ約343万台、約306万台だった。対するBYDの同期間の販売台数は約376万台で、日系2社を抜き去るのはほぼ確実な状況だ。
「新たなプレーヤーが次々と登場し、市場の勢力図が次々の塗り変わっている中、スケールメリット(規模の経済)はこれまで以上に大きな武器になる」。ホンダ主導の経営統合に向けた交渉入り発表の場で日産の内田誠社長はこう強調した。
ただ両社の販売台数は減少傾向にあり、電気自動車(EV)の分野で台頭する中国の比亜迪(BYD)に単独では勝てないところまできたという現実もある。
自動車業界で規模の経済を追求するための事業統合や資本提携は目新しいアイデアではない。1990年代にはダイムラー・ベンツ(現メルセデス・ベンツグループ)によるクライスラー(現ステランティス)の買収を機に400万台の規模がなければ生き残れないとされ、業界では再編が進んだ。その後、目線は引き上げられ2010年代には「1000万台クラブ」と言われるようになった。
5年前であれば、ホンダと日産の新会社はクラブ入りしたかもしれないが、両社の販売台数はその後計300万台も減少している。23年実績では1000万台を超えているのは世界でトヨタ自動車だけだ。
ホンダの三部敏宏社長は日産や三菱自動車との23日の共同記者会見で、車両プラットフォームの共通化や調達や開発、販売金融機能の統合などによるスケールメリットを得られるとしたが、1000万台の大台には届かないことから効果が限定的になる可能性もある。
自動車調査会社カノラマの宮尾健アナリストは、ホンダも日産もともにBYDに抜かれることを挙げ、「単純に日産が一人負けでホンダがそれを救済するという話ではない」と指摘。両社にとって生き残りをかけた取り組みだと述べた。その上で、ホンダと日産の2社合わせてBYDを抜き返せても、1+1=2にはならず、1.8程度にしかならないとの見方を示した。
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Tsuyoshi Inajima