理想と現実は違う? 移住先人気ナンバー3だけど流出人口ワースト4の静岡県
NPO「ふるさと回帰支援センター」(東京都千代田区)が発表した2016年の移住希望地域ランキングで山梨、長野に続き3位となった静岡県。首都圏に近い、暖かい、富士山が見える、食べ物が美味しいなどプラス要素が多く、雑誌などの移住先人気ランキングでも軒並み上位にランキングしている。ところが、総務省の住民基本台帳の人口移動報告では、人口流出で静岡県が全国ワースト4位となるデータも。理想と現実は違う? 2016年、移住先人気ナンバー1は何県?
2016年の都道府県別の人口データをまとめた総務省の住民基本台帳の人口移動報告によれば、転入者数から転出者数を引いた数が静岡県はマイナス6390人となり、北海道、熊本県、兵庫県に続いてワースト4位となっている。 一方、トップ3は東京都、千葉県、埼玉県と首都圏が独占、それに続く神奈川県、愛知県、福岡県、大阪府のトップ7都府県のみ転入者数が転出者数を上回り、他はすべてマイナス、首都圏や大都市に人口が移動している傾向が伺える。 流出人口が多かった4道県のうち、熊本県は地震の影響によるものと考えられる。静岡県の担当者は、静岡や兵庫などは人口が多く、かつ大都市に近い点を指摘。超過転入数が人口に占める割合を示す転入超過率では、静岡県は全国の中位に位置していると強調する。つまり人口が大きいため、流出人口の数が大きくなっているが、人口比率では全国でも真ん中くらいとの説明だ。
しかし、とは言っても、平成27年国勢調査においても、過去5年間における転入、転出人口が、静岡県は1万1828人の転出超過となっており、人口の流出傾向が鮮明になっている。人口問題は県議会でも取り上げられるなど県政の重要課題となっているのだ。 県では長期人口ビジョンを策定して総合的な施策に乗り出しており、東京・有楽町のふるさと回帰支援センター内に静岡県のボックスを設置するなどして移住促進に積極的に取り組んでいる。今回、ふるさと回帰支援センターのランキングで静岡県がベスト3となったのも、こうした取り組みの成果と言うことが出来るのかもしれない。 市町村も移住に積極的に取り組んでいる。特に静岡市は、市としては全国で唯一、ふるさと回帰支援センターにブースを出して移住相談に応じている。「静岡市は、転出による人口減少対策として移住を促進しています」と市担当者。 ふるさと回帰支援センターのブースでは、初年度の平成27年度には400~500件の相談に応じ、うち9組16人が静岡市に移住。今年度は27年度を上回る移住数になりそうだという。静岡市では移住ショートムービー「窓の外側」を制作してYOUTUBEで配信するなどして移住希望者にアピール。同映画は映画祭で入選するなど本格的なドラマ仕立ての作品になっている。 「移住を希望した人が、実際に移住をするまでには3年くらいかかるのが一般的。時間がかかることなので、腰を据えて取り組むことが重要だと考えています」と静岡市担当者。移住先人気ナンバー3の成果が出るのは3年後なのかもしれない。 静岡市の移住ショートムービー「窓の外側」は、静岡市の移住・定住情報サイト「いいねぇ。静岡生活」で視聴することができる。