PKの三浦知良へ「忖度いらないので」 元日本代表が見せたスーパーセーブの裏側「100%真剣にやってと」
南雄太が12月21日に引退試合を実施
昨季限りで現役を引退した元日本代表GK南雄太が12月21日に引退試合を実施。そのゲームではアトレチコ鈴鹿のFW三浦知良が約15分プレーして2ゴール。さらにPK戦では南との真剣勝負に臨んだ。「サッカー界のここまでやってきた歴史が積み重ねっているなと感じますね」と試合後に話した。 【実際の動画】「忖度いらないので」 三浦知良の鋭いPKを南雄太がスーパーセーブした瞬間 南は1999年にU-20日本代表としてワールドユース(当時名称)で、世代別も含め日本サッカー初の世界大会決勝進出のチームで守護神を務めた。当時のチームメートであるMF小野伸二やMF遠藤保仁ら、1979年生まれ黄金世代の面々に加え、MF中村俊輔やMF中村憲剛といった名手たち、柏レイソルやロアッソ熊本、横浜FC、現役引退当時の大宮アルディージャでチームメートだった三浦やMF松井大輔といった豪華なメンバーが集結した。 三浦はラスト15分ほどでピッチに立つと、右からのボールに合わせる形で2得点して観衆を沸かせた。ゴール時の定番と言えば「カズダンス」だが、この日は田原俊彦さんの「抱きしめてTONIGHT」の決めポーズを披露。その理由を「カズダンスは本番で踊らなきゃいけないんで、公式戦で。それまで踊っちゃいけないんで、知っているものをやらせてもらいました」と話した。 自身の出場前には、DF加地亮がゴール時に”カジダンス”としてパフォーマンスを披露していたが、本人を目の前にして恐縮する一幕も。それでも、本家は「いやいや、光栄ですよ」とにこやかに話した。 90分を同点で終えると、南の「GKで引退試合は初だったので、何かを残せたらいいなと。今日はGKが目立つのがテーマの1つだった」という思いでのPK戦を実施。両チーム10人のキッカーは南が指名し、三浦は後攻チームの5番手でキッカーに立ち、南がゴールを守った。そして、ゴール右を狙ったキックを南が見事にストップし、大団円の結末になった。 このキックについて三浦は「ガチ(勝負)ですよ」と話し、南も「忖度いらないのでガチで蹴ってください、100%真剣にやってくださいと。止めたかった。体が勝手に動いた。こんなにうまくいくと思わなかった。カズさんも真面目にやってくれて良かった」と喜んでいた。 Jリーグ史上初となるGKの引退試合となったこの日について三浦は「南雄太の人柄がこれだけ惹きつけて皆が集まるわけですからね。サッカー界もここまでやってきた歴史が積み重ねっているなと感じますね。引退試合っていうのはなかなかできるもんじゃないですから。それがやれて、これだけお客さんが集まってくれるというのは日本サッカーの歴史も変わってきたんじゃないですか」と話す。 自身は来季も鈴鹿で現役を続けるが「やれる場所と自分の気力さえ続けばやりたいと思います」として、「もうちょっとチームの結果も個人的な数字も上げたい。そういう意味では、(今季に)プレータイムを得られたのが大きいと思うのでいい準備を重ねたいですね」と話していた。
轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada