「診療所を開業してくれれば5000万円支援」「医師を紹介してくれれば100万円」…医師不足で町営診療所が次々と廃止が決まった地方の町の実情
地域の医療をどう守るか
長野県辰野町は、町内に診療所を開設したり新たに診療科を設けたりする医師らに、交付金を支給する開業医支援事業を始めると明らかにした。町は医師不足の影響で休診中の町営2診療所を廃止する方針。医師確保が難しくなる中、地域の医療体制の維持につなげたい考えだ。 【写真】廃止が決まった町営第一診療所
さらに閉院が進む可能性
町議会全員協議会で明らかにした。町によると、町内の診療所は8カ所で、町が廃止方針を固めた2施設を含む3診療所が休診中だ。町保健福祉課の竹村智博課長は「医師の高齢化により閉院が進む可能性があり、医療体制維持が困難になってくる」と説明。町医師会の要請もあり、制度を創設することにした。
新事業では、診療所を開業する場合に5千万円、既存の施設を増築し、新たな医師を雇用した上で町が指定する診療科を設ける場合などに3千万円を交付する。10年以上診療を行う見込みであることが前提で、継続が困難になった場合は診療の年数に応じて交付金の返還を求める。必要事項の審査は、町の理事者と町医師会による委員会が行う。
町医師会に加入し、休日当番医を務めるなど地域医療に対する協力も求める。条件を盛った要綱は10月にも公表する。指定する診療科も追って示す。医師確保策として、町内で開業する医師を紹介してくれた人に、奨励金100万円を交付する仕組みも併せて始めるという。