「まさか死んでしまうとは…」『金田一少年の事件簿』友達が犠牲になった「やるせない事件」
■無念の死に心が痛んだ「異人館ホテル殺人事件」佐木竜太
次は、はじめの「助手」を自称していた佐木竜太が巻き込まれた事件を見ていこう。それが「異人館ホテル殺人事件」で、古いホテルでおこなわれる推理イベント“ミステリーナイト”に「赤髭のサンタクロース」を名乗る人物から脅迫状が届いたことから始まる。 はじめの後輩である佐木は現場でずっとビデオカメラを回しており、周囲の様子を撮りまくっていたために、犯人が使った殺人のトリックに気づいてしまう。そして、佐木はすべてをはじめに教えようとして呼び出した。 それを知った犯人は佐木が邪魔になり、計画にはなかった佐木殺害を実行する。佐木を絞殺してからはじめを気絶させ、はじめの部屋のバスルームに吊るし上げたのだ。これによってはじめは、佐木殺しの犯人として疑われることにもなる。 いつも側にいた佐木が殺され、しかも自分が犯人になってしまう……。気持ちの整理がつかず、佐木の死は自分のせいだと心が折れかけたはじめ。しかし、このままでは犯人の思うツボだと気付き、佐木の無念を晴らすため自らを奮い立たせるのだった。 佐木ははじめと関わりが強くなっていきそうなキャラだったので、その死は衝撃的であった。後に弟の竜二が兄の意志を継ぐことになったので、どこか救われた気分にもなった。それでも、何も悪いことをしていない佐木竜太の死は無念でしかない。
■身勝手な犯行にイラついた「学園七不思議殺人事件」
最後に紹介するのは、実写ドラマでも放送されている「学園七不思議殺人事件」だ。この話は不動高校が舞台となっており、学校関係者が事件に関わることになる。 はじめがミステリー研究会の面々とともに学園にまつわる七不思議について調べていたところ、先輩の桜樹るい子と同級生の尾ノ上貴裕が無惨に殺されてしまう。 その後、はじめと美雪が事件の真相を確かめようとすると、美雪が襲われて意識不明の重体に。はじめはそんな美雪を見て、これ以上事件を追いかけるのは危険と判断して諦めようとした。 しかし、意識を取り戻した美雪に“犯人を捕まえられるのははじめだけ”と言われ、再び事件を解き明かそうとする。 その真相は、教師である的場勇一郎が自らの保身のため生徒を殺していたというもの。桜樹たちはひょんなことから的場の過去の犯罪に近付いてしまい、そのせいで殺されたのだ。あまりにも理不尽としか言いようがない……。 美雪はそれまでにも何度か犯人に襲われることはあったが、死にかけた事件はこれが初めてである。それもあってはじめに同情してしまい、的場の身勝手な犯行にはイライラさせられた。 『金田一少年の事件簿』には恨まれたわけではなく、巻き込まれて死んでしまったキャラもいる。しかも犯人の保身や都合によって殺されてしまうので、亡くなったキャラはあまりにもかわいそうだ……。
大山元