瀧内公美が小悪魔女子、石橋静河が彼氏の親友に積極アプローチ女子、石橋奈津美が毒舌女子...クセあり女子が良きマリアージュになった「大豆田とわ子と三人の元夫」
NHK大河ドラマ「光る君へ」で、一族の無念を晴らすために藤原道長(柄本佑)に嫁ぎ、義父・兼家(段田安則)を呪詛する明子役を演じ、迫力の演技が話題になっている瀧内公美。2019年に公開された「火口のふたり」では柄本佑と共演し、その大胆なラブシーンが話題になるなど、注目されている女優のひとりである。 【写真を見る】松たか子のチャーミングな演技でヒロイン・とわ子への親近感が増していく そんな瀧内や、スペシャルドラマ「ブラックジャック」(2024年)でドクター・キリコ役を演じた石橋静河らが脇を彩る女性として出演していたドラマが、松たか子主演のロマンティックコメディー「大豆田とわ子と三人の元夫」(2021年)だった。 センスとユーモアのある台詞の応酬が秀逸な本作の脚本を手掛けたのは、同じく松たかこが主演を務めたヒット作「カルテット」(2017年)の坂元裕二。ヒロインは建設会社しろくまハウジングの社長の大豆田とわ子。彼女に3人の元夫がいて、離婚しても彼らに翻弄(ほんろう)される日々を送っているが、個性的な夫たちにも浮いた話がないわけではない。 松田龍平演じる最初の夫・田中八作は「歩いているだけでもモテる」と言われる男でレストランを経営。客で訪れた親友の彼女、早良(石橋静河)に惚れられてしまう。角田晃広(東京03)演じる2番目の夫でファッションカメラマンの佐藤鹿太郎は、撮影で担当した女優の古木美怜(瀧内公美)から連絡先を聞かれ、その後彼女の策略にハマることになる。そして、岡田将生演じる3番目の夫、中村慎森はとわ子の会社の顧問弁護士でビジネスホテル暮らし。公園で知り合った毒舌女子、小谷翼(石橋菜津美)に振り回されていく――クセ強めの3人の夫たちに絡む女性たちも本作の気の利いたマリアージュになっている。 ■瀧内演じる女優、美怜のセクシーさと策略にハマる2番目の元夫 元夫たちに近付く3人の女性の中でも、瀧内が劇中で見せるセクシーさはハンパでない。お金に細かく器が小さいと周囲に言われる佐藤は、美怜のセレブマンションに呼ばれ、セリフの練習相手をさせられている内に彼女の意のままに操られる。そして、上目使いで「今夜、泊まっていってくれない?」と誘惑される事態に。美怜にもてあそばれる佐藤は、田中に「悲しい話ですね」、あまのじゃくな中村には「好きじゃなかったんでしょうね」と言われるものの、彼女の魅力から引き返せない感が満載だ。小悪魔的な微笑みを浮かべる女優役が瀧内の魅力を引き出している。 ■タイプが違うミステリアスな女たちと元夫の恋の攻防戦の行方から目が離せない 彼氏の親友だと知りながら、田中の店にひとりで行き、意味深な視線を送る早良(石橋静河)は冷たくされようが、断られようが、まったく響いていないように思われる自信家。パワハラ上司のことで弁護士の中村に相談を持ちかけた翼(石橋菜津美)は嘘がばれて、追求されると「まだ私が誰だかわからない?」と思わせぶりに攻めてくる性格だ。とわ子の家に集まったり、別れた後も元夫同士でつるんでいる3人。彼らと女性たちとの恋の行方、3人の女優の演技という角度を変えた視点で見ても楽しめる奥行きがある作品だ。 文=山本弘子
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