創業145年 老舗として歴史を守りつつ“食”で地域づくりに挑戦 「五島軒」若山豪さん#BOSSTALK
時代とともに変わる味覚と食材 料理はベンチャー精神で常にアップデート
――小売店で販売する(レトルト)カレーにも昆布だしが入るのですか? 昆布だしのおいしさが分かり、看板商品の「函館カレー」に使い、発売しています。 ――そうして味はアップデートされるのですね。 その時代においしい、次の時代もおいしいって言われるのは、たぶん変化し続けないといけない―ということです。これは家訓として残っています。明治時代も今もカレーを作っているけれど、明治時代のカレーを今、そのまま食べたら、おいしくないぞと、父はよく話していました。だからアップデートしているはずなのです。明治のおいしいと大正のおいしい、昭和のおいしいは、たぶん違うのです。味覚は変化し、原材料の野菜やお肉も良くなっておいしくなっていくので、それに合わせて味を変えることを繰り返したから、どの時代でも、ある程度おいしいと評価を受けてきたはずです。ベンチャー精神でどんどん変えなければ、時代に乗り遅れてしまう―。(アップデートこそが)老舗として長く続いた秘訣かなと思います
企業やまちの生き残り 地域の役割を分担し、総力結集できるかがかぎ
――これから100年、200年と五島軒が愛される存在であるために、どんな未来を想像していますか? 今年145年を迎えられ、本当に函館、北海道の人に支えられてきたと感謝しています。でも今、函館も他のまちも地方は人口減少しており、函館は年間4000人以上も減る状態がずっと続いて、危機的な状況です。函館、北海道があるから五島軒は生き残ってきましたが、まちが滅びてしまえば、企業も続けられなくなります。会社1社で何とかできる時代は終わったと思います。行政も、地元の企業も産業も生産者さんも、みんなで役割分担をしっかりしなければ、未来が描けない時代が来ています。地域の総力をどう結集するかに傾注し、みんなで臨めば地域は変わり、これからも続くんじゃないか。そこに五島軒もちゃんとあり続けるよ―と示していければ良いと考えています。
UHB 北海道文化放送