表敬訪問で「写真撮り直し」をお願いしたパリ五輪出場のダンサー。その理由が意外でかっこよかった
SHIGEKIXや女子で金メダルを獲得した湯浅亜実(25)(AMI)は現在、川崎市を拠点にしておりSHIGEKIXは「市や市民の皆さんが、前向きにサポートしてくれているのを感じて生活している」と感謝する。 川崎市はスケートボードやブレイキンの大会を開催するなど、市を挙げて都市型スポーツを後押ししている。担当者は「ここでストリートカルチャーが育ってきた」と話す。 そんな川崎市は五輪で競技が実施された2日間、パブリックビューイングを実施した。会場の市産業振興会館のホールには、ブレイキンの文化がふんだんに取り入れられていた。 DJ機材が設置され、薄暗い中に赤や紫などカラフルな照明がギラギラと灯る。日本時間で深夜から未明にかけての開催ということもあってクラブのような雰囲気だ。AMIのチームメイトら、ブレイキン関係者の姿が目立つ。一方で、若者から高齢者まで、年齢層の幅は広い。 競技中は男性のダンサー「Bボーイ」や女性の「Bガール」がMCや解説を務めた。予選と決勝の間にはDJが音楽を流し、解説者同士によるバトルも披露された。市民スポーツ室で若者文化推進担当課長を務める石床高志さんは、「ブレイキンを初めて見る人にも雰囲気を味わってもらえるよう、実際の大会に近づけるように企画した」と狙いを語る。
もくろみは奏功し、初日は132人だった来場者が、2日目には満席近くとなる218人と大幅に増加。石床さんは「『初めて見たが、面白かった』と翌日に友人を連れてくる人が何組もいた」と手応えを感じている。「競技なのかカルチャーなのかといった議論もあるが、ブレイキンのかっこよさや、互いをたたえ合う選手の姿勢といった魅力は伝わったはず。五輪を通じて世界中にファンが広がったのではないか」 ▽見ているだけで「かっこよさ」が伝わる ブレイキンは採点項目が複雑で分かりにくい面もある。ただ、PVの来場者が言うように、見ているだけでも「すごい」「かっこいい」と感じた人は多かっただろう。2028年ロサンゼルス五輪では実施されない。それでもパリでの挑戦を終えたAMIはこう口にした。「ブレイキンのシーンは盛り上がっていくと思う」