南海といえばこの顔7000系 引退・廃車まで懐かしの緑で
南海電車7000系 引退・廃車となる9月末まで懐かしの緑で THE PAGE大阪
南海電車が創業130周年を記念して、本日から運行を開始した「懐かしの緑色塗装」。今年9月に引退する7000系のさよなら記念も兼ねたこの企画は、「特急サザン」として運転されている10000系と7000系各1編成を、約20年前まで見られた緑の濃淡塗装に「復元」するというもの。久しぶりに登場したカラーリングに、鉄道ファンならず一般の利用者からも「懐かしい!」「これこそ南海電車」という声も早速聞かれました。
7000系 ついに引退することに
この塗装が初めて採用されたのは、1961(昭和36)年のこと。それまで南海電車は濃緑1色が主流だったところ、この2年前に登場した1521系がオレンジ色の帯を巻いて登場。続いて、1521系の兄弟車となる2051系が、上半分を淡緑色とした塗装となりました。 このカラーリングが好評だったため、以後南海電車の標準塗装として広く普及。今回復元された7000系も、1963(昭和38)年の製造開始からこの塗装でしたが、1992年に現在の塗装への変更が始まりました。 南海7000系は、老朽化した旧型車の置き換えと輸送力増強を目的に90両が誕生。1521系の流れを受け継いだ前面や側面のデザインは、ヘッドライトが2灯になるなどより洗練され、前年より高野線用に製造された6000系とともに、南海の「顔」として親しまれました。JRや大手私鉄の通勤車両では珍しくなった片開き 扉、屋根上にずらっと並んだ分散型クーラーなど、往時の雰囲気が懐かしく感じられます。 製造から50年以上が経ち、現在も「サザン」の自由席車両や空港急行など、新型車両に勝るとも劣らない活躍を見せていますが、老朽化に加え保守部品の入手が困難になってきたことから、ついに引退することになりました。
10000系の中間車両は、初めてこの色に
ところで、同時に塗装変更された10000系は1985(昭和60)年にデビュー。和歌山港から四国へのフェリーに連絡する特急「四国号」用の1000系を、老朽化に伴い置き換えるために製造されました。当初は運転台付き車両のみの2両編成で登場し、今回復元された塗装で活躍していましたが、こちらも1992年から現在の塗 装に変更。ちなみに、運転台のない2両の中間車は、1992年の塗装変更後に登場したため、今回の塗装となるのは初めてのことです。 今回塗装変更された7000系と10000系は、併結した8両編成で「特急サザン」に使用。どの列車に充当されるかは、南海電鉄公式サイトに掲載されているので、ぜひチェックしてみてください。なお、この塗装で運行されるのは、7000系は廃車となる9月末まで、10000系は2016年3月まで。また、8月末までは写真に見られる特製ヘッドマークを取り付けての運転となります。
この車両は2回目の「復活塗装」
最後に豆知識を。南海電鉄では10年前となる創業120周年の時にも、記念企画としてこの濃淡グリーン塗装を復活させましたが、その時に使用された車両はなんと今回と同じ7000系の7037編成でした。10年後の今回、再びこの車両が選ばれたというのも感慨深いところです。 (文/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる)大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。