3本柱誇る阪神が目指すべきは落合型野球?!
「先発ではメッセンジャー、西、ガルシアの3枚は、ある程度の計算が立ちます。4枚目、5枚目に独り立ちできる先発が出てくれば、そこそこ戦えるでしょう。ブルペンも藤川、桑原、ドリスの3枚は他球団に比べて安定感のある陣容です」 昨季11勝7敗のメッセンジャー、13勝9敗のガルシアの2枚に加え、西もオリックスでは10勝13敗でセとの交流戦成績も2勝1敗、防御率2.25と悪くない。 この3枚は故障さえなければローテーの軸になり、そこに岩貞祐太、秋山拓巳、藤浪晋太郎、小野泰己、青柳晃洋らの中から安定感のある先発が続き、20歳の才木浩人、或いは3年目の浜地真澄、2年目の高橋遥人らが噛んでくればシーズンを通しての先発のマネジメントはできる。 ブルペンには抑えに立候補している藤川球児、ドリスに加え、桑原謙太朗、新外国人のジョンソン、おそらく左腕の能見篤史も加わるだろう。ドラフト4位の齋藤友貴哉にもチャンスがある。昨季もチーム防御率4.03はリーグ2位。投手王国誕生の備えはできている。 だが、一方で課題だった打線の強化はうまく進んでいない。新外国人としてジェフリー・マルテ(27)を獲得したが、なんともパワー不足。昨年、期待を裏切ったロサリオに似たタイミングの取り方で早くも「スライダーが打てるのか?」という不安がつきまとう。 矢野監督は、キャンプ中の実戦では4番にマルテでなく大山悠輔を据えた。新戦力として目立ったのは、ドラフト3位の木浪聖也くらい。左腕も苦にせず粘りのあるシュアなバッティングで、矢野監督が「内野はどこでもできるし、どの打順も打てる」と評価するほど存在感を示したが、走力を評価したドラフト1位、近本光司のアピールは足りなかった。 それらを踏まえた上で里崎氏は、「落合さんが中日の監督時代にディフェンス主体のチームを作り、1-0、2-1で勝つ野球を貫き優勝したことがありますよね。とくに打線に3割打者が一人もいなかったのに優勝した2011年。阪神が目指すとすれば、その形じゃないでしょうか」と提案した。 落合型野球の真骨頂とも言えるのが、就任8年目に9回目のリーグ優勝を果たした2011年のシーズンだ。日本シリーズでは、3勝4敗でソフトバンクに敗れたが3勝のスコアは、すべて「2-1」だった。 最多勝&最優秀防御率の吉見一起をエースに先発には、ネルソン、チェン、山内壮馬、山井大介、岩田慎司らが揃い、ブルペンには、浅尾拓也、岩瀬仁紀の布陣。チーム防御率2.46はリーグトップだが、チーム打率の.228はリーグ最低で、3割打者は一人もいず、チーム最多本塁打はブランコの16本。チーム本塁打数の82本もリーグ3位という絵に描いたような「投高打低」のチームで頂点に立った。