東海3県初の星野リゾート誕生…『界 奥飛騨』が目指す地域文化や伝統の再発信 “曲木”が施設の一部に
■地域の文化や伝統の再発信への期待も…伝統の地場産業を施設やサービスの一部に
何もかも新しくするのではなく、地域に宿る息吹は残す。こうした連携は、観光面だけではない。 飛騨産業は「曲木(まげき)」を使った家具を手掛ける老舗メーカーで、創業104年を誇る。
「曲木」とは、木材を蒸して曲げて、乾燥させることで曲線を作り出す技法で、粘り強く折れにくい広葉樹のブナ材が豊富な飛騨地域で発展してきた。
飛騨産業の田村健志さん: 「曲木をするということはこの繊維がカーブの通りに繊維がそろってくる。そういったことで、木材の強度自体が上がってくるということで、強い木材を作ることができる」
この曲木が「界 奥飛騨」の一部になっている。 客室には飛騨産業の家具が置かれ、曲木をモチーフにしたヘッドボードには、ブナやナラなど飛騨地域の広葉樹があしらわれている。
壁には飛騨春慶のウォールアートなども施され、「地域の伝統」を感じながら過ごすことができるようにした。 また、飛騨産業から直接研修を受け、職人の技術を学んだスタッフが「曲木体験」のアクティビティを宿泊客向けに行い、技と魅力を「伝える」ことにも一役買うという。
飛騨産業の田村さん: 「飛騨地域全体が脚物家具の産地でありますので、アピールしていただけることは非常にうれしいことでありますので、できる限りの協力をして共に発展していければなと。(伝統を)絶やさずに続けていきたいとに考えています」 観光需要を上向かせることで、なり手不足を抱える地場産業にも光を。星野リゾートの進出は、地域の文化や伝統の再発信への期待も背負っている。
須永総支配人: 「新たに需要を掘り起こしてお客様に来ていただくというところが、私たちの生業になると思っておりますので、どうしてもこれから持続的な観光産業を成り立たせていくためには、地域の皆様とも連携をしながら1泊ではなく2泊3泊と、奥飛騨温泉郷の湯めぐりであったり、豊富な自然を生かした滞在提案というのを、地域の方々としていきたいと思っております」 『知らなかった日本の魅力を』。星野リゾートの取り組みは、せわしない日本人の休暇の過ごし方への新たな提言にもなっている。 2024年9月13日放送