年金が「月7万円」なら、老後は何歳まで働くべき? 平均的な生活費&貯蓄「800万円」のケースで試算
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)家計の概要 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 平均寿命である男性81歳、女性87歳まで存命すると仮定すれば、65歳以降、男性で「16万円×12カ月×16年=3072万円」、女性で「16万円×12ヶ月×22年=4224万円」もの生活費が必要です。一方で、受給する年金額は男性が「7万円×12ヶ月×16年=1344万円」、女性は「7万円×12ヶ月×22年=1848万円」となり、収支が大きくマイナスとなるのは夫婦世帯と変わりありません。 ここで貯蓄額を800万円と仮定した夫婦世帯・単身世帯ごとの老後に必要な生活資金の収支をまとめると、図表3のとおりになります。 図表3
※夫婦世帯と単身世帯(女性)は女性の平均寿命87歳まで存命、単身世帯(男性)は男性の平均寿命81歳まで存命すると仮定 ※年金は65歳から1人月7万円を受給すると想定
何歳まで働き、いくら稼ぐ必要があるのか
このように、もらえる年金が国民年金のみであれば、不足する老後資金を年金や800万円程度の貯蓄だけで補うのは困難です。しかし会社員などと違い、自営業者やフリーランスの人には「定年退職」という概念がありません。つまり、65歳という年金受給開始年齢に関係なく、少しでも長く働き続けることが前提になっているともいえます。 ただし、内閣府の令和元年度「高齢者の経済生活に関する調査結果」によれば、図表4のとおり、65~69歳では半数程度、70~74歳でも4割程度の方が収入のある仕事に従事している一方で、75歳以上になると収入を得られる仕事をする人の割合は急激に低下します。 図表4
内閣府 令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(概要版) 2 仕事に関する事項をもとに筆者作成 このようなデータからも、後期高齢者となり、体力や知力にも衰えが生じがちな75歳以上の収入をあてにすることには大きなリスクが感じられます。そのため、元気なうちに老後に不足する生活費を稼ぎ切ってしまうのも1つの選択肢です。 例えば、夫婦世帯であれば、不足する約2600万円を年間260万円で75歳までの10年間、月に直すと22万円程度をめどに夫婦2人で稼ぐことが考えられます。男性の単身世帯の場合では、不足する約900万円を年間90万円で10年間、月に直すと8万円程度の収入で生活費を賄えます。