［山口県］広瀬順子選手 心技体そろった「金」パリパラ柔道
「心技体がそろった美しい日本柔道だった」―。パリパラリンピックの柔道女子57キロ級（弱視）で山口市出身の広瀬順子選手（33）＝SMBC日興証券＝が初めての金メダルを獲得して一夜明けた7日、地元の関係者からは快挙達成への称賛と喜びの声が上がった。 ■山口市の恩師ら喜び 広瀬選手は同市小郡地区出身。地元の小郡柔道スポーツ少年団で競技を始め、小郡中学校、西京高校で腕を磨いた。幼少期から広瀬選手を指導し、現在も親交がある同市の会社役員、吉冨久悦さん（49）は6日、地元の関係者ら約20人と一緒に広瀬選手の戦いを見守った。 準決勝の後には相手の関節技で肘を痛めたという連絡があった。「普段は『笑顔だけで十分』と言っているが、今回だけは『絶対に諦めるな』と少し厳しい言葉を送った」と吉冨さん。決勝では負傷の影響を感じさせない戦いで一本勝ちした。 広瀬選手は2016年のリオデジャネイロ大会では銅メダル、21年の東京大会は5位だった。吉冨さんによると東京大会後、競技を続けることへの迷いがありながらも金メダルへの思いが競技続行への原動力になったという。三度目の挑戦で悲願の金メダルを獲得した教え子を「諦めない心、鍛え込まれた肉体、円熟味を増した技術、まさに心技体がそろった完璧な戦いでつかんだ金メダルだった」とたたえた。 ■市が懸垂幕設置へ 山口市は10日に市役所に金メダル獲得を祝福する懸垂幕を設置すると発表。伊藤和貴市長は「強い気持ちで世界の強豪を破り、躍動する姿は市民だけでなく、全国に夢や感動、元気を与えてくれた」、山口県の村岡嗣政知事は「パラリンピックの金メダリストが誕生したことを大変誇りに思う」とそれぞれコメントを発表した。
