UFOで人体実験、エイリアンの子どもを妊娠…「宇宙人による誘拐談」が型にはまっているワケ
宇宙人に誘拐され、人体実験をされるという「アブダクション」。報告されているアブダクションの件数は、世界中でもアメリカが突出して多いという。それはいったいなぜなのだろうか。※本稿は、越智啓太『つくられる偽りの記憶 あなたの思い出は本物か?』(化学同人)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● エイリアンとの子どもを妊娠!? 数十万人が宇宙人の人体実験を主張 1960年頃からアメリカでは、「宇宙人(エイリアン)に誘拐(アブダクション)され、人体実験をされた」と報告する人(アブダクティー)が徐々に現れてきました。その数は年々増加し、現在では驚くべきことに数十万人がそのような主張をしているといいます(アブダクティーの潜在人口は370万人という指摘もあります)。 また、なかにはエイリアンとの間にできた子どもを妊娠したといっている人もいるくらいです。 興味深いことに、このような主張をしている人は、アメリカにきわめて多く、ほかの国にはあまり存在しません。もちろん日本ではエイリアンに誘拐されたといっている人は、ほとんどいないと考えられています(もしいらっしゃったら、ご一報いただければ幸いです)。 では、なぜこのようなことが生じているのでしょうか。ひとつの可能性として考えられるのは、実際にUFOが地球にやってきていて、エイリアンが人々を誘拐して人体実験をしているということです。実際、この問題に関するもっとも代表的な論客であるハーバード大学の精神科医ジョン・マックはそのように考えていました。 マックが信じているこの説を笑い話として片づけてしまうのは簡単です。「UFOなんて想像の産物だし、エイリアンが地球人を誘拐するわけはない」といえばいいのです。
しかし、もしその説を否定するのであれば、いったいなぜ、何万人もの人々がエイリアンに誘拐されたなどという話をしているのかを解明する必要があります。 では、エイリアン・アブダクションとはそもそもどのような現象なのでしょうか。 エイリアン・アブダクションがはじめて大きな話題となったのは、ヒル夫妻誘拐事件がきっかけとなっています(ただし、エイリアンに誘拐されたという話をしているのはヒル夫妻が最初ではありません)。そこでまず、この事件について振り返ってみることにしましょう。 ● 身長150センチ、髪の毛は短い… 夢で見たUFOの記録を始めた バーニーと夫人のベティのヒル夫妻は、1961年9月19日、休暇で訪れたカナダからニューハンプシャー州の自宅に自家用車で向かっていました。車がニューハンプシャー州に入った頃、グローブトン付近で、南西の空に何か光る物が飛んでいるのを夫妻は発見しました。 はじめは流星か飛行機だと思っていましたが、その物体はヒル夫妻の車を追跡してくるようでした。そこで、バーニーは車を止めて、その物体を観察しようとすると、物体は複雑な運動をしながら車の上空で停止しました。 バーニーが双眼鏡で物体を観察すると、その物体の側面には一列の窓があり、そこから青白い光が漏れていました。 そしてその窓から、8~11人の人影がバーニーをじっと見下ろしていたのです。 突然、その中のひとりを除くほかのメンバーが足並みを揃えてなにかの計器板に向かっているのが見えました。ひとりはじっとバーニーを見つめています。「やつらは俺たちを捕まえようとしているんだ!」。 バーニーは恐怖に駆られて、車を急発進させました。ぶんぶんという大音量と振動が続き、どうやらUFOはヒル夫妻の車の真上をずっとついてくるようでした。午前5時過ぎにようやく自宅に帰り着くと、大音量と振動は消えていました。ベティはバーニーに、「これであなたも空飛ぶ円盤を信じるでしょ?」というと、バーニーは「馬鹿なことをいうな」といいました。