土屋太鳳×佐久間大介×金子ノブアキで贈る映画『マッチング』。内田英治監督が作品を解説
――土屋太鳳さん、佐久間大介くん、金子ノブアキさんのキャスティング理由や、監督が引き出したかった3人の新たな一面とは? 今作では、初めての人たちと仕事をしたいと思っていたんです。ヒロインの輪花を演じる土屋さんは、ひたむきで清純な役柄が多い方。実際の彼女もとても努力家だし、スタッフみんな、彼女のことが大好きです。ただ僕は、土屋さんが女優として抱いている目標はもっと広いところにあると思っていて。彼女は幅広い役をやりたいと思っているはずだし、やる気もある。だから今作ではあえて彼女のパブリックイメージとは違った女性を演じてもらいました。 Snow Manの佐久間くんは、映画の出演がまだそこまで多くないし、いい意味で未知数なところが魅力的。素の彼は明るくておしゃべりだけれど、「本当にそれが君なの? ほかにもいろんな面を持っているんじゃないの?」と思わせられるときがあります。ちょっと個性的な役も似合うし、本人もそういう無理難題をクリアするのが好きなんじゃないかな。吐夢みたいな目に生気がない役も喜んで受けてくれたし、思った以上にハマったと思います。また、金子さんはカッコいい大人の男性というイメージがありますが、今作では多面性のある役柄を演じてもらいました。 3人とも普段のイメージをひっくり返したかったし、新たな一面を見せられたのではないかと思っています。 ――個性豊かな登場人物が揃っていますが、キャラクターはどう作り上げていきましたか? ストーリーが複雑なので、メインの3人にはキャラクターの背景などをまとめた資料を渡して、話し合いながらキャラクターを作っていきました。土屋さん演じる輪花は、最初は控えめだけれど、事件に巻き込まれていくうちに、だんだん口調も変わって強いキャラになっていきます。土屋さん自身が持っている芯の強い部分が、うまく役にも出ていたのではないでしょうか。 吐夢を演じる佐久間くんは、渡された資料を見て余計に混乱していましたね(笑)。彼は役を深く考えるタイプなんです。アニメが好きだったり、マニアックなものに興味があったりと、強いこだわりを持つ役柄とリンクしている部分もありますね。あと、彼は“目”がいいんですよ。じっと見られると、こちらが緊張してしまう。撮影中も彼に『目が怖いね』と100回ぐらい言ったのですが、なぜかうれしがっていました(笑)。吐夢はちょっと愛らしさのあるストーカーだし、佐久間くんファンの方もきっと吐夢というキャラをかわいがってくれるんじゃないかな。 輪花を支える影山を演じた金子さんは、感情の流れを大切にする方。芝居やキャラクターの感情について何度も話し合ったし、本当に演技が大好きなのが見てわかります。クライマックスの影山のセリフも、かなり長く話をして、最終的に納得した上で演技に落とし込んでもらいました。