年収100万円妻と200万円妻で世帯の「生涯手取り」に2200万円の差…老後2000万円問題が一気に吹き飛ぶ家計戦略
■健康保険加入で受け取れる様々な手当金 年金はいわば「長生きすること」への保険です。年金は亡くなるまで受け取れますし、年金額は受け取り時の物価や賃金に連動し、購買力がある程度保たれます。退職後の生活を支える土台のような存在といってもよいでしょう。厚生年金に加入すれば、この土台が大きくなります。これは大きなメリットであると筆者は考えています。 厚生年金への加入は、その他にもメリットがあり、障害年金・遺族年金よりも支給額が多く条件が良い「障害厚生年金」「遺族厚生年金」が受給できるようになります。 また、勤め先の健康保険に加入すると「傷病手当金」「出産手当金」「出産育児一時金」、雇用保険に加入すれば、「基本手当(失業保険)」「育児休業給付金」「介護休業給付金」「教育訓練給付金」などが受け取れます。 ただ、保険は将来や万が一が起こったときへの備えであり、現時点でメリットは実感できません。積極的に社会保険に加入しようという動機が生まれづらいのも事実です。 ■家庭内で根強く残る「家事分担の壁」 注意したいのは、女性が就労時間を調整するのは、年収の壁だけが原因ではないということ。「仕事に割ける時間の壁」や「家事分担の壁」も要因となっている可能性があります。 総務省の資料によると、専業主婦の世帯、共働きの世帯を問わず、女性の方が家事を行う時間が長いとのこと。たとえば、未就学児がいる夫の家事育児などの時間は、専業主婦家庭で1時間47分ですが、これは共働きでもあまり変わらず、1時間55分となっています。 第3号被保険者制度は、男性が家庭外で、女性が家庭内の労働を行うという分業を前提としてきました。しかし共働きが増えた今も、この前提が依然として存在していることがうかがえます。女性に家庭外での労働を求めるのであれば、男性の働き方や家事労働を行う時間をセットで見直す必要があるでしょう。