伝統のアメリカンV8スポーツカーが「未来的な走り」を獲得! シボレー「コルベット」初のハイブリッド4WD「E-Ray」公道での印象は?
初物づくしの“C8”に史上初のハイブリッド4WDを設定
初めての“ミッドシップ”、初めての“DCT(デュアルクラッチトランスミッション)”、そして初めての“右ハンドル”……。“C8”と呼ばれる8世代目のシボレー「コルベット」は、ブランド史上初の要素が盛りだくさん。「コルベット」の歴史に新たなページを刻む、大きなターニングポイントを迎えた世代となっています。 【画像】「えっ!…」これが「コルベット」史上初のハイブリッド4WDを搭載したシボレー「E-Ray」です(30枚以上) そんなC8「コルベット」に、新たな“初”が加わりました。「コルベット」史上初のモーターを搭載した“ハイブリッド”と、初めての“4WD”です。
新たに加わったブランド初のハイブリッドモデル「コルベットE-Ray(イーレイ)」は、502psの6.2リッター自然吸気V8エンジンに加えて、162psのモーターをフロントに搭載。システムトータルの最大出力664psと、高性能仕様である「コルベットZ06」の646psを凌駕する史上最高のパワーを誇ります。 スゴいのはその加速性能で、停止状態から時速60マイル(約96km/h)まで必要とするタイムはわずか2.5秒。この鋭い発進加速も歴代「コルベット」で最速です。 気になるハイブリッドシステムは、かなりシンプルなもの。車体中央の後ろ寄りに積まれた“LT2”型と呼ばれる大排気量OHVエンジンがリアタイヤへパワーを送り出す一方、前輪はエンジンとは完全に切り離され、車両前部に積まれたモーターからの駆動力でタイヤを回すモータードライブ仕様となっています。前輪と後輪で異なる動力源を活用しているのが特徴といえるでしょう。 ちなみに、ミッドシップのハイブリッド4WDといえば2世代目のホンダ「NSX」をイメージする人も多いことでしょう。確かに「NSX」もフロントはモーターだけで駆動するなど似ている部分はあります。しかし「NSX」は後輪もモーターが駆動をサポートするなど、ハイブリッド機構との連携がより複雑。それに比べて「コルベットE-Ray」は、とてもシンプルな仕かけなのです。 エンジンを止めてモーターだけで走行できるのも、「コルベット」史上初めてのこと。その際の上限速度は約72km/hとされています。 また、モーターだけで走れる航続可能距離はバッテリー残量によって大きく左右されますが、最大で6.4kmとされています。このモーター駆動モードはドライブモードセレクターを「ステルスモード」に切り替えると作動し、早朝の外出や深夜の帰宅時など、静かに走行したいときに大きな効果を発揮します。 正直なところ、あの「コルベット」が図太いV8サウンドを奏でることなく無音で走る姿はかなり新鮮です。 ハイブリッドといえば、省燃費をイメージする人も多いかもしれません。「コルベットE-Ray」のモード燃費値は公表されていませんが、スタンダードモデルや「Z06」と比べるとしっかり向上はしています。 しかし肝心なことは、「コルベットE-Ray」のハイブリッド機構は一般的な燃費重視系のハイブリッドとはベクトルが違うということ。モーターを加えることでさらなるパワーを引き出し、より速く走ろうというのが「コルベットE-Ray」のねらいだからです。速さと新感覚のためのハイブリッド、ととらえるのが正解です。 「コルベットE-Ray」は、「コルベット」らしさをきちんと受け継ぎつつも、次の時代へのシフトを担う“「コルベット」からの新たな提案”といえるでしょう。