「バチバチ型」から「友だち型」へ。『ハイキュー!!』と『SLAM DUNK』に見る「ライバル観」30年の変化とは
まず、『SLAM DUNK』から。 再び突然で恐縮だが、読者の中には「ミッチー」推しが相当数いると予想する。 「ミッチー」とは、もちろん「三井寿」のことだ。漫画「スラムダンク」に登場するスリーポイント・シューター。主人公らが属する湘北高校3年で、元不良グループのリーダー。元不良なだけあって、性格はバッチバチ。同級生キャプテンのゴリ(赤木剛憲)とも、仲がいいのか悪いのか(いや、絶対悪い)。普段から喧嘩するように練習している。 そんな問題児キャラだが、プレーは熱い。とにかく男気があって、同性からの信頼が厚い。不良時代にバスケから離れてしまったことを人一倍後悔していて、それがまたカッコいい。 そう考えると、「スラムダンク」に登場するキャラクターは、ほぼ全員バチバチの性格をしている。メインキャラの中で例外はメガネ君(木暮公延)くらい(あとはみんなモブ)。 よって、『SLAM DUNK』はライバルの宝庫だ。特に際立つのは、主人公の桜木花道と、そのライバル流川楓だ。なにせ同じ1年生のチームメイトなのに、まったく口を利かない。流川なんか、話したとしても「どあほう」しか言わない。よってパスも出さない。「よくこれで試合できるな」と思うくらい。お互い本当に嫌いなんだなと、つくづく思わせられる。 そんな中、劇場版の対戦相手「山王工業」は、高校界最強のチームとして登場する。その目標に立ち向かうことで、ふたりは試合中も大きく成長していく。 ● とにかく「仲がいい」現在のライバル関係 『ハイキュー!!』の推しと言えば「ツッキー」だろう。月島蛍なのでツッキー(ミッチーの次はツッキーか)。主人公たちと同じ烏野高校の1年生で、最初は「こいつの性格どうなのよ」と思っていたが、徐々にその魅力を見せ始める。 劇場版の対戦相手「音駒高校」とは、実は夏の合宿を共に過ごしている。そして音駒のキャプテン黒尾鉄朗と月島蛍は同じミドルブロッカーというポジション。かたやライバルチームの大黒柱で、かたや経験の浅い1年生ルーキー。合宿ではとても歯が立たない。 しかも月島は性格が微妙なので、ライバルチームの1年ルーキーに「もっとやろうぜ」と声をかけてくれる黒尾に「どうしてそんなに必死にやるんですか」とか言う始末。 それでもなお、ブロックの技術とバレーの面白さを教えようとしてくれる黒尾から少しずつ吸収し、月島は成長を見せる。そして劇場版では、インターハイの場で対戦する。 この月島と黒尾の関係を含め、ハイキューではとにかくみんな仲がいい。主人公の日向翔陽と、セッターとしてコンビを組む影山飛雄もしかり。1年生同士で全く性格も異なるが、それでもいつも一緒に練習している。いつも一緒にして、お互いよく喋る。 音駒のセッター孤爪研磨とは明確なライバル関係として描かれるが、やっぱり仲がいい。まさに令和のアニメという感じ。