なぜ八村塁はいきなり世界最高峰のNBAで活躍できているのか?
またNBAには攻守ともに3秒以上ペイントエリアに留まってはいけないという“3秒ルール”があることも八村のここまでの活躍に関連していそうだ。 ブルックスHCが、トレーニングキャンプ中に八村を主にパワーフォワードで起用する方針を示した時、日本代表をともに引っ張るメンフィス・グリズリーズの渡邊雄太が「塁は4番(パワーフォワード)の方がやりやすいと僕は思います」と話していた。 「横のミスマッチには彼のスピードとか身体能力は全然通用するレベルだと思いますし、フィジカルでも彼はインサイドも出来ますからね。NBAではFIBAと違ってディフェンスの3秒ルールがあるので、4番でスペースを空けて貰って攻める方がやりやすいと思います。ワールドカップでは、ディフェンスの3秒ルールがないので、ずっとディフェンスが塁のことを逆サイドで待っていて、それでちょっと攻めにくくしていた部分があったんですけど、NBAに関してはそれがないので攻めやすくなるんじゃないかなと思います」と話していた。 ペイントエリアでのフィールドゴール成功が、この3試合で成功したフィールドゴール23本のうち17本と圧倒的に多かった(NBA公式サイトより)八村も「3秒ルールとかがあって、ペイントにあまりディフェンスがいないという時が多い」と話している。 もちろん3試合をプレーして課題もある。 一つは、ここまで8本試投してまだ決めていないスリーポイント。しかし同シュートに関しては、フォームの修正中と聞いており、今後徐々に適応できるだろう。 もう一つは本人が上記の3秒ルールについて話したあと、こう続けた言葉だ。 「そういうところでもやっぱり身体能力の高い選手ばかりで、ブロックしてきたりしているので、そういうところで力強くもっとやらなきゃいけないなと思います」 八村はマーベリックス戦で3度、サンダー戦でも3度ブロックされた。マーベリックス戦で八村のシュートを2度ブロックしたクレバーは、「彼は非常にアグレッシブだったためにウィークサイドから来た自分に気づいていなかった」と話し、サンダー戦で八村を正面からブロックしたスティーブン・アダムズは「彼は凄く力強く、パワフルなジャンプをする」としながらもブロックしたシュートについては「唐突にゆっくりとジャンプをした」と話していた。 本人も気づいているように、隙を見せればあっという間に気づかれ、すぐに追いつき潰しに来る選手の集まりだ。そんな中で今後どのように自らの得点能力を高めていくか。 ウィザーズは、日本時間明日31日のホーム開幕戦で強敵ヒューストン・ロケッツと戦う。 「毎晩いい選手が待ち受けている。誰もが高いスキルを持ち、どのチームにもいい選手がいる。NBAでは休みもなく、彼(八村)のスキルレベルはいつも同じというわけにはいかないだろう。でもそれがこのリーグで彼が学んでいくことだ」とブルックスHC。 82試合を戦うレギュラーシーズン。いい時、悪い時を繰り返しながら、着実に成長していく過程をしっかり見ていきたい。 (文責・山脇明子/米国在住スポーツライター)