なぜ八村塁はいきなり世界最高峰のNBAで活躍できているのか?
翌日のスパーズ戦では、自身とマッチアップした相手のセンター、トレイ・ライルズを突き飛ばす勢いでゴール下に入り込みそのまま真上にジャンプ、右手でダンクを力強く叩き込んでチームの最初の得点を決めた。その後も4日間で3試合目の疲労どころか、さらにNBAの試合に順応していることを見せつけるかのように賢明な動きからシュートを成功。オフェンス・リバウンドを取って空中でそのまま叩き込むなどダンクも合計3本を見せつけた。 マーベリックスのクレバーは、ドイツ代表として8月に来日し、日本代表と国際試合を戦った。その時に日本のエースとして31得点と奮闘していた八村の姿とNBAのルーキーとして初めてNBAの試合を戦う八村の姿に「何の違いもなかった。自分のプレーをし、破壊力を持って立ち向かってきた」と言った。 その開幕戦を終えて八村は「あまり緊張しなかった」と話し、プレシーズンとレギュラーシーズンの違いを聞かれると「観客が絶対多いなと感じたし、相手もずっと主力の選手が出ていたり、僕もプレー時間が長かったりでそういうところが違うかな」とあっさり答えた。 相手チームには故障で1年半戦列を離れていたとはいえ、リーグ有数のビッグマンとして存在するポルジンギス、そして昨季の新人王でますますの飛躍が期待されている(そして、すでに驚異的なプレーを2年目で見せている)ルカ・ドンチッチら優れた選手がいた。 プレシーズンとは違ってレギュラーシーズンはさらにスピードがあり、フィジカルで、とんでもないスキルを本気で出してくる。しかしそんなレベルに圧倒されるどころか、悠々と自分の力を見せた。 振り返ると、ほとんどベンチを温める存在だった大学1年生の時も大きな大会などで試合終盤に自分の番が回ってくるとダンクを叩き込んだり、スリーポイントをいとも簡単に決めていた。 もちろん、あの時とは状況やプレッシャーも桁外れに違うが、八村には、大舞台や凄い相手を意識し過ぎず、力を発揮できる長所がある。その上、NBAで十分通用するフィジカリティを持ち、運動能力、技術を持つのだから、自分の力を信じ、チームのプレーに沿ってやっていれば、スコット・ブルックスヘッドコーチ(以降HC)が試合後言った「期待通りのプレー」はそう難しいことではない。