全国的な「共学化」の流れが伝統校の多い兵庫県の私学にも…2000年以降10校、共学化の背景で進む学校改革を読み解く
■女子校で強い共学化への傾向
全国的に共学校が増え、男子校や女子校は減少傾向にあります。共学校が約92%を占め、女子校は約6%、男子校については約2%で「絶滅危惧種」と言われています。近年の傾向では女子校が共学になるケースが多く、首都圏では毎年のように共学化とともに校名変更し、注目校となって志願者が増加している学校があります。 兵庫県でも今、共学ラッシュが話題になっています。今年、男子校から共学になった滝川中学校に続き、2025年から親和中学校が女子校から共学へ、神戸山手女子中学校が共学化のうえ「神戸山手グローバル中学校」へ校名変更します。さらに26年には園田学園中学校が女子校から共学となり、3年で4校が共学へと変わることになります。 24年現在で、兵庫県の36校の私立中学校のうち男女別学は20校(男子校6校、女子校14校)を占め、男女別学が多い地域ではありますが、これからも続く傾向なのかどうかが注目されています。
兵庫県では00年以降、現在判明している26年の園田学園まで含めて10校が共学となっています。中でも4校の共学の私立中学校が誕生した(啓明学院・神戸龍谷・須磨学園・滝川第二・・・共学化だけでなく中学新設を含む)02年から05年までを第1次共学ラッシュとすると、今回の4校のケースは第2次共学ラッシュと呼べるもので、さらにスケールアップする可能性も残されています。 なぜ今、共学化が進んでいるのか。共学になれば、募集対象が約2倍になるので、これから深刻化する少子化への対策というのが共学化の進む主たる理由であることは間違いありません。ただ、女子校にその傾向が強いのはなぜでしょうか。 女子校の建学の精神には当時の時代背景が反映されており、女性の学ぶ自由や社会進出などを掲げているケースが多いです。しかし、新しい時代に向けての学校改革には、「建学の精神」を現在化して解釈することが必要です。女子校に共学化の傾向が強いのは、「今の時代に学校を開校するなら女子に特化していただろうか」という問いへの答えなのかもしれません。 今回の第2次共学化では、共学になったことよりもこの共学化に合わせた学校改革の中身(重点化した教育内容や新たな取り組み)に注目するとともに期待をしています。