【NBA】20年に渡り一緒に働く個人トレーナーがレブロン・ジェームズを語る「僕たちが目指すものは『最高の選手になる』だ」
「レブロンの意欲はいまだ衰えていない」
レブロン・ジェームズの個人トレーナーを長きに渡って務めるマイク・マンシアスが『High Performance』のyoutubeで、レブロンとの20年以上に渡る仕事について語っている。彼はプロの世界での成功を夢見てトレーニングを学び、キャバリアーズのインターンとしてサマーリーグでアシスタントトレーナーを務めることになった。時は2003年、そこにはドラフトで指名されたばかりのレブロンがいた。 「僕らは同じタイミングでキャブズで働き始めた。それまでの僕は学んだことをボランティア活動で実践していた。高校や治療院、野球のマイナーリーグ、救急隊員のインターン。とにかくスポーツ医学の分野で経験を積み、チャンスを得ようとしていた」とマンシアスは言う。 「実を言うと直前までレブロンのことは知らなかった。NBAに詳しい友人は『レブロンと仕事ができたら最高だ』と言っていたけど、僕は『所詮は高校生だろう?』という感じ。僕はとにかく良い仕事をしてチームに認められたかった。最初にホテルの部屋で彼の身体にちょっとした治療をした時、ただ大きいだけじゃなく均整が取れていることに驚き、『この子は特別だ』と思ったのを覚えているよ」 その1年後、マンシアスは正式にキャブズのアシスタントトレーナーとして雇われた。「トレーニングキャンプで選手たちにストレッチを指導していた時、レブロンが近付いてきて『この動きにはどんな意味があるのか』と聞いてきた。言われた動きをただこなす選手が大半なのに、彼はすごく好奇心旺盛で何でも知りたがった。『こうすると腰が内側に引き戻される』、『こうすれば足首にも効果がある』という説明を熱心に聞いていたものだ」 それを機に、レブロンはチーム練習が始まる前にマンシアスを呼ぶようになった。そして2007年の開幕を控えたある日、レブロンはマンシアスに「僕の家でこのトレーニングをやってくれないか?」と乞われたという。 「あれはハロウィンの夜だった。彼の家に着くと、ドアを開けてくれた彼は完全にバッドマンの格好だった。たくさんのゲストがいる中で、彼と20分ぐらいトレーニングをしたよ。それから試合前には毎回そうするようになった。アクロンにある彼の自宅まで行き、エクササイズやトレーニング、時にはアイシングなどの治療をして、家族と一緒に夕食を食べる。当時は子供用のチェアに座ってスプーンで食べさせてもらっていたブロニーが今ではNBAプレーヤーだから驚くよ(笑)」 レブロンとマンシアスには好奇心旺盛で負けず嫌いという共通点があった。目指すは『最高の選手になる』こと。マンシアスは言う。「人はそれぞれみんな違うから『高いパフォーマンス』も人それぞれだ。まずは自分自身の強みと弱みを知り、自分がどうなりたいのかを設定する。『最高の選手になる』には多大な犠牲と献身が必要で、長くトップレベルでプレーし続ける必要がある。偉大な選手であるだけでなく、偉大な選手であり続けなければならない。それが僕らの挑戦だ」 レブロンの素晴らしい点は一貫性を保てるところだとマンシアスは言う。出会った当時はアリーナに向かう途中でファーストフードを買い、ロッカールームで食べてから試合に出ていたそうだが、マンシアスの助言を受け入れて完璧な栄養を取り、十分な水分補給を欠かさないようになった。睡眠は毎日8時間から10時間。ごく稀に夜更かしした時には、翌朝に正直に、そして恥ずかしそうにマンシアスにそれを告げるそうだ。 「初めて優勝した時は祝杯を挙げたけど、それだけだった。『最高の選手になる』には何度も優勝しなきゃならないと分かったからね」とマンシアスは語る。「僕は真っ白なキャンバスだった。彼が認めてくれて、旅の仲間に加えてくれたおかげで、自分でも想像しなかったキャリアを積むことができた。でもまだ挑戦は終わらない。『最高の選手になる』というレブロンの意欲はいまだ衰えていないからだ」 「20年も一緒にいると、うんざりすることもある。特に長いシーズンの中盤には『今日もトレーニングか……』と思う。でも、僕たちが目指すものは明確だ。自分たちの旅路の意味は理解しているし、ゴールが最高のものになることは分かっている」