『わたしの宝物』親友の暴露というまさかの衝撃…恒松祐里が見せる“複雑な感情”のグラデーション
女優の松本若菜が主演するフジテレビ系ドラマ『わたしの宝物』(毎週木曜22:00~ ※TVer・FODで見逃し配信)の第5話が、きょう14日に放送される。 【写真】赤ちゃんを抱く松本若菜と田中圭 夫以外の男性との子どもを夫の子と偽り産み育てる「托卵」をテーマにした今作、ついにウソがバレるときがやってくるが、その衝撃の先に待ち受けていたものとは――。
■きっかけは水木の嫉妬や子どもの血液型と想像していたが… 主人公・美羽(松本)と夫・宏樹(田中圭)の冷え切った夫婦関係に端を発し、美しい思い出のまま再会した幼なじみの冬月(深澤辰哉)との不倫、さらにはその子どもを宿したことによる偽りの親子関係が描かれてきたが、いよいよ今回は、そのウソがバレる瞬間が訪れることになる。 そのきっかけについて、視聴者はいくつかの想像をしていただろう。一つは、冬月の同僚である水木(さとうほなみ)の嫉妬だ。水木は初回から、冬月への想いがあふれており、そのまっすぐすぎる想いは、第2話終盤の「爆発テロに巻き込まれ亡くなったのは冬月である」と偽ったあの場面において顕著だった。大切な人を日本に残してきたという冬月の想いを強引に引き裂きたかったのだろう。そんな水木の嫉妬が伏線となり、何かのきっかけで美羽と冬月の関係が公になってしまう…そんな危険性を視聴者は覚悟していたに違いない。 次に考えられるのは美羽と冬月の子ども・栞の身体的特徴だ。栞が生まれた際、“宏樹に似ていない”という言及もあったが、やはり“血液型”が明確なウソの証拠になるのではないかということだ。栞と宏樹の血液型は果たして一致しているのだろうか?という点に関心を持ち、“ウソがバレる”きっかけになるのではないかと想像していた視聴者も多かっただろう。 しかし、実際にバレるきっかけとなったのは、前回ラストで明らかになった、真琴(恒松祐里)の主人公夫婦に寄せる複雑な感情からだった。
■作品のバランスを整える役割だと思っていた真琴 振り返ってみると、今作の真琴という存在は異質であった。なぜなら、真琴と美羽はかつての同僚だったという背景はあるものの、年が離れていながら親友であるという関係性、そしてシングルマザーでありながらその苦労や影のようなものはほとんど感じさせない溌溂(はつらつ)なキャラクターで、だからこそ他人の夫である宏樹を“推し”と言う姿にも邪念が入る余地はなかった。 また、“托卵”というセンセーショナルなテーマを掲げる今作において、何も害を及ぼさない“視聴者目線”の人物を配置することで、重苦しくなってしまう作品のバランスを整える役割、そんな存在だとも思っていた。 しかし、“年の離れた親友”、“シングルマザー”、“宏樹推し”、そして何より“視聴者目線”、その全てに真の意味が隠されており、今回の“ウソがバレる”瞬間を残酷に演出していくことになる。そしてそれこそが、真琴を演じる恒松祐里の本領発揮と言ったところで、視聴者目線の一部分である“普通”を演じるだけでは物足りない。全てが壊れてしまうと分かっていながら、どうしても抑えられない主人公夫婦へ向けられた“複雑な感情”のグラデーションを見事に表現している。 ■真琴の暴露後にさらなる“地獄”へ 今回バレるウソは、“不倫”のことだけでなく、もちろん“托卵”についても含まれる。果たして第5話で、 “ウソ”のどこまでを、どのようにバラしてしまうのか。そのさじ加減にも注目してほしい。 さらに衝撃なのは、すでに予告で明らかとなっている、真琴の宏樹への想いが暴露されるだけでなく、そこからもう一段階“怖ろしい何か”が待ち受けているのである。真琴を起点とした、対宏樹、対美羽との“攻防戦”は、あまりのスリリングさに見ていられない……けれど、どうしても見てしまう、という今作のエンタテインメント性が十分に発揮されている。 次回予告が衝撃だった場合、その衝撃以上の出来事は本編では起こらないのが常套だが、毎回のように“地獄”が更新されてきた今作。真琴の暴露による衝撃の後、まさかのそれ以上の2つの衝撃……さらなる“地獄”が待ち受けている。もう怖ろしすぎて固唾を飲むことしかできない。
■ 「テレビ視聴しつ」室長・大石庸平 おおいしようへい テレビの“視聴質”を独自に調査している「テレビ視聴しつ」(株式会社eight)の室長。雑誌やウェブなどにコラムを展開している。特にテレビドラマの脚本家や監督、音楽など、制作スタッフに着目したレポートを執筆しており、独自のマニアックな視点で、スタッフへのインタビューも行っている。
「テレビ視聴しつ」室長・大石庸平